『光る君へ』太閤・藤原道長(柄本佑)の最期に視聴者最注目 最終話画面注視データを分析
■「『千夜一夜物語』のようでグッときた」 注目された理由は、『光る君へ』の正真正銘のクライマックスに、視聴者の視線が「くぎづけ」となったに違いない。 まひろと道長の永遠の別れの時がとうとうやってきてしまった。1年をかけて丁寧に描かれてきた2人の50年間の軌跡がどのような終えんを迎えるのか、非常に多くの注目が集まった。 X(Twitter)では、「兄や甥を追い落とすように最高権力者となって、娘を道具にして地位を得たとささやかれた道長さまが、まひろちゃんと最期の時を過ごせたのは救いでしたね」「まひろが道長に語りかけるのが『千夜一夜物語』のようでグッときた」「まひろちゃんは最後の最後で道長さまではなく三郎くんと再開できたんだなって、物語を語る姿から感じました」「最初は紫式部と藤原道長が幼なじみで恋愛するなんて…と思っていたけど、毎週目が離せませんでした」と、2人の最後のシーンに感動したという多くの投稿が集まった。 実際の道長の最期は壮絶だったと伝わる。様々な合併症を引き起こし、目が見えず背中の腫れ物に苦しみ、厠にも行けず、苦しみながら亡くなったと記録が残っている。男性の平均寿命が33歳といわれていたこの時代で、62歳まで生きた道長はまずまずの長寿といえる。くしくも父・藤原兼家(段田安則)も62歳で亡くなった。夫婦とはなれなかったまひろと道長だったが、その絆は50年間、道長がこの世を去るまで続いた。川辺での偶然の出会いから始まった2人のストーリー。思い返せば様々な出来事があったが、ソウルメイトとして同じ時代を生きたまひろと道長の姿に、多くの視聴者が「くぎづけ」となった一年だったのではないだろうか。
倫子がまひろに「殿に会ってやっておくれ」
2番目に注目されたのは20時32分で、注目度77.73%。倫子がまひろに、ただ死を待つだけの道長に会ってほしいと願うシーンだ。 「殿はもう、祈とうはいらぬ、生きることはもうよいと仰せなの。私が殿のために最後にできることは何かと考えていたらあなたの顔が浮かんだのよ」倫子からそう聞かされ、まひろは道長がまだかすかに生きていると知り、わずかだが気持ちを整理することができた。「北の方さまがお呼びでございます」と、百舌彦(本多力)がやってきたときには最悪の事態が頭をよぎったからだ。「殿に会ってやっておくれ。殿とあなたは、長い長いご縁でしょ。頼みます。どうか殿の魂をつなぎ止めておくれ」倫子がまひろに深く頭を下げた。 倫子は、夫とまひろが自分たちが出会うよりずっと前からのなじみであったことを、先日まひろから打ち明けられていた。そのことを聞かされた時は、さすがの倫子も嫉妬を覚えたが今はもう他に手段がない。道長の命を少しでも長くこの世に留めるためには、どうしても道長とまひろを会わせる必要があるのだ。倫子はさらに深く頭を垂れた。そんな倫子の決意がまひろの胸に強く響いた。まひろはうなずき、道長と会う決意を固めた。