『光る君へ』太閤・藤原道長(柄本佑)の最期に視聴者最注目 最終話画面注視データを分析
■「最高権力者の嫡妻としての威厳あるお姿」 このシーンは、いよいよ大詰めをむかえる展開に、多くの視聴者のボルテージが高まったと考えられる。 死の淵にいる道長の延命のため、プライドをかなぐり捨ててまひろに道長と会ってほしいと願う一途な倫子に多くの共感が集まった。そして、刻一刻とせまるまひろと道長の今生の別れを視聴者は予感しながら、画面を注視したのではないだろうか。 SNSでは、「倫子さまが最後までかっこよかったところが、『光る君へ』で1番すきなところです」「倫子さまが道長くんの左手をそっと布団にもどす繊細な演出がなんともいえず好き」「心の底から愛する道長のために嫉妬もプライドも捨てて、まひろに頭を下げる倫子はすごい女性です」「1年間、高貴なお姫様の無邪気な愛らしさから、最高権力者の嫡妻としての威厳あるお姿までみせてくれた倫子さまが最高でした」といった、一途な賢母・倫子の生きざまに多くの称賛の声が上がった。 作中では「男の人生は妻で決まる」といったセリフが何度かあったが、倫子なくして道長の栄華はなかっただろう。倫子は四女・藤腹嬉子(瀧七海)と次女・藤原妍子(倉沢杏菜)に続き、道長にも先立たれたれたが、さらに1036(長元9)年には後一条天皇の中宮となった三女・威子も失ってしまう。1039(長暦3)年に出家し、その後、1053(天喜元)年に90歳で大往生を遂げた。そのなきがらは曾祖父である宇多天皇の建立した仁和寺に埋葬されたと伝わる。 黒木華演じる源倫子は、初登場時よりこれぞ平安貴族の姫とその外見と振る舞いが絶賛されてきた。まひろと道長の秘めた関係を知った時にどのような反応を見せるのか注目が集まっていたが、倫子は最後まで非常に優雅で度量の広い嫡妻として描かれた。そんな倫子は、『利家とまつ』のまつや、『功名が辻』の千代に並ぶ良妻と言っても過言ではない。
2人になってしまったF4
3番目に注目されたシーンは20時49分で、注目度77.66%。2人になってしまったF4のシーンだ。 「道長と同じ日に逝くなんて行成(渡辺大知)は心底、道長にほれていたんだな。はは…」藤原公任(町田啓太)が手にしている盃に、往年の友である藤原斉信(はんにゃ.・金田哲)が酒を注ぐ。いつもであればここにいるはずの2人は今はもういない。そう、道長と行成だ。道長が逝ったその日の夜、行成も後を追うようにこの世を去った。行成にとって道長は、まさに人生そのものだったのだろう。夜から降っていた雪はもうやんでいた。 「あいつはまことに道長によく尽くしたよ」斉信は遠い昔に思いをはせる。「見し人の 亡くなりゆくを 聞くままに いとど深山 ぞさびしかりける」公任は2人をしのび歌を詠むと、「消え残る 頭の雪を 払いつつ 寂しき山を 思いやるかな」斉信も瞳をうるませ公任に続いた。2人は旅立った友の姿を胸に、手にした盃をささげた。あちらでも道長と行成は、主従の関係を結んでいるに違いないと。