専門家会議メンバーが明かす、新型コロナの「正体」と今後のシナリオ
慌てて医療機関を頼らない
──今後の見通しはどうなるのでしょう。 まずこの1、2週間が山場です。感染がさらに拡大するのか、それとも収束するのか。それは国民がどれだけ冷静に判断して、リスクのある行為を避けられるかにかかっていると思います。 本日(2月23日)時点での最良のシナリオは、日本で小さな流行しか起きず、重症者も出ないというものですが、その可能性は小さくなりつつあります。 別のシナリオは、いろいろな場所で、ある一定規模以上の感染拡大が起きて、そのいくつかではかなり厳しい状況になる、ということです。そこでは、医療機関が重症者の集中治療を十分にできないような状況になる可能性があります。
怖いのは、そういう状況が日本全国で相当数起きて、クラスターの連鎖が起こり、拡大を止められなくなることです。そうなると、感染拡大を止めるためには、社会機能を完全に止めるしかなくなります。 ──そうならないためにも、この1、2週間が重要ですね。ただ、そのあとも警戒は必要なのでは。 その通りです。収束に向かうか、拡大するのか、今は重要な分岐点です。ただ、この新型コロナウイルス問題の怖いところは、日本だけに終わらないという点です。 先月、フィリピンに僕らが新型コロナの検査の試薬を持って行ったら、感染者が3人見つかりました。中国本土以外の最初の死亡者はフィリピンでした。しかし、その3人の感染者が見つかって以降、その他の患者が1人も見つかっていない。インドネシアは2億5500万人の人口がいて、中国からも直行便がある。それなのに、感染者は増えていると聞きません。 これまでの各国の状況から、そういう国でも実は感染連鎖が始まっている可能性が高いと思います。その場合、仮に日本だけで感染拡大を止められても、新たな感染源が生じてしまうので、そこからまた感染者が日本にも流入することになります。ただし、そうなっても国内の体制は急速に充実することが考えられるので、大きな流行になることを阻止するすべはあります。