それでもThinkPadと呼ぶ。赤ぽっちを卒業した「ThinkPad X9」登場
LenovoはCES会期初日(1月7日、現地時間)に、新しい「ThinkPad X9」シリーズが発表された。ThinkPad X9シリーズには14型の「ThinkPad X9 14 Aura Edition」と15.3型の「ThinkPad X9 15 Aura Edition」の2つのラインナップがあり、前者は1.21kg、後者は1.45kgと比較的軽量のモバイルノートPCとなる。 【画像】ThinkPad X9 14 Aura Edition いずれの製品もCore Ultra 200V(vPro/Evo対応版を選択可能)を搭載しており、MicrosoftのCopilot+ PCに対応したPCとなる。そして、従来のThinkPadユーザーにとっては衝撃的な「TrackPointレス」なデザインになっていることが最大の特徴となる。 ■ TrackPointレスなThinkPad X9シリーズ、ポインティングデバイスはハプティックタッチパッドのみに ThinkPad X9で非常に特徴的なのは、これまでThinkPadのアイコンだったスティック型のポインティングデバイス「TrackPoint」が用意されておらず、ハプティックタッチパッドのみが装着されていることだ。従来のThinkPadシリーズは、一部の例外を除き、ほとんど全てのモデルでTrackPointとタッチパッドの2つのポインティングデバイスが装着されていた。TrackPointに慣れ親しんでいるユーザーはTrackPointを、タッチパッドに慣れ親しんでいるユーザーはタッチパッドを使ってほしいというのがLenovoのメッセージだった。 しかしこのThinkPad X9シリーズでは、TrackPointはオプションでも用意されず、タッチパッドのみが用意されている。TrackPointに慣れ親しんでいるユーザーにとっては衝撃だが、ほかのメーカーのPCでタッチパッドに慣れているユーザーにとっては、必要のないデバイス分のコストが削減されるということだ。 ただし、これを皮切りに今後すべてのThinkPadからTrackPointがなくなっていくというよりは、他社製品からの乗り換えを促進するモデルはTrackPointがなくなり、そうでないモデルは残すという、併存の可能性が高い。 実際、同じCore Ultra 200Vを搭載している昨年(2024年)9月に発表された「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」で用意されていることを考えると、ThinkPad X1シリーズやClassic ThinkPad(TシリーズやXシリーズ、Lシリーズなど)などのモデルでは、引き続き搭載されていくと考えられる。 ThinkPadは、昨年発売されたThinkPad X1 Carbon Gen 12やThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionなどで、TrackPointの左右クリックボタンをソフトウェアで実現するハプティックタッチパッドをオプション(ないしは標準)にしていた。既にハプティックタッチパッドに関しては3世代の進化を遂げており、今回のハプティックタッチパッドはそうした延長線上にあると考えられる。 なお、キーボードはThinkPad標準の6列配列で、昨年のモデルから採用が始まっていたCtrlキーが左端に来ているキー配列になっている。 ■ Core Ultra 200Vを搭載してMicrosoft Copilot+ PCに対応 筐体は、シャシーの素材に50%リサイクルのアルミニウムが採用されており、重量は14型のThinkPad X9 14 Aura Editionが1.21kg、15.3型のThinkPad X9 15 Aura Editionが1.45kgとなる。 同じ14型のディスプレイを採用したThinkPad製品としては「ThinkPad X1 Carbon」があるが、そちらは素材がカーボンになっており、その点X9が大きく異なる。また、先行投入されたThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionでは、OLEDパネルを採用したモデルが重量1kgを切っており、その意味でも差別化されている。 なお、今回ThinkPad X1 Carbon Gen 13の標準モデル、ThinkPad X1 2-in-1 Gen 9の後継製品やClassic ThinkPadなどに関しては何も発表がなかった。例年Lenovoは追加のThinkPad製品をMWCで発表することが多いので、それらは2月のMWCで発表されると考えられるだろう。 SoCはいずれもCore Ultra 200Vで、メモリは最大32GB、ストレージは最大2TBという構成になっており、MicrosoftのCopilot+ PCに対応している。ディスプレイは、14型はWUXGA(1,920×1,200ドット/60Hz)のOLED(HDR500)ないしは2.8K(2,880×1,800ドット/120Hz)のOLED(HDR600)で、いずれもDCI-P3 100%の色域をカバーする。15.3型は2.8K(2,880×1,800ドット/120Hz)のOLED(HDR600)で、やはりDCI-P3 100%の色域をカバーする。カメラは最大で800万画素(4K)のMIPI-CSI2接続のカメラで、15.3型のモデルでは4Kカメラが標準となる。 バッテリ容量は14型が55Wh、15.3型が80Whになっており、いずれもCRU(顧客が交換可能な部品のこと)になっており、パーツ単位で購入してユーザー自身がマニュアルに従って交換することができる。 ThinkPadシリーズでは、従来はFRU(Lenovoのエンジニアのみが交換できる部品のこと)だったバッテリパックを、CRUにする設計変更を段階的に行なっており、昨年はThinkPad Tシリーズなどの一部モデルでCRUに変更されていた。今回のThinkPad X9シリーズはそれに次ぐバッテリのCRU化になる。 インターフェイスは14型が左側面にHDMIとThunderbolt 4、右側面にヘッドフォン端子とThunderbolt 4、15.3型はそれに加えて右側面にUSBが1つ追加される。 ThinkPad X9 14 Aura Editionは2月より出荷開始予定で、直販価格は1,399ドルから。ThinkPad X9 15 Aura Editionは2月より出荷開始予定で、1,549ドルの直販価格になる予定だ。
PC Watch,笠原 一輝