山で料理する派が選ぶべきクッカー「MSR/セラミック ソロポット」|これからの山道具図鑑 Vol.2
ほかにもあるMSRらしいこだわり
このセラミックソロポットは、コゲつき防止加工だけでなく、ほかのクッカーではまだあまり採用していない機能、こだわりを装備させている。 例えば、クッカーのカラーが、それだ。 セラミックソロポットを含むセラミックポットシリーズは、2017年に発売された当時はクッカーのカラーがグレーだった。それが2020年モデルからブラックカラーに変更されている。 これは単なるカラー変更ではなく、熱効率のよさを求めたもの。前述のとおり、コゲつき防止加工のクッカーは中火以下での使用でコーティングの劣化を防ぐ必要があるが、そうなると湯沸かしに時間が掛かる。そのため、少しでも沸騰時間を短くするため、熱の吸収が高いブラックカラーに変更したと思われる。 また軽さが必須機能といえるアウトドア用のクッカーは、本体の薄さで軽量化を実現している。しかし薄くなると強度が落ちる。また、バーナーの火が当たるクッカーの底面が、熱によって膨らんで変形してしまうことが、間々ある。 そうなるとゴトクに乗せた際の安定感も失われる。それを改善するためだろう、MSR/セラミックソロポットの底面は、多くのクッカーのようにフラットではなく、上の写真のようにわずかに凸型になっていて、クッカー内側にふくらみをつけている。 もしかすると、フラットな底面よりも膨らみがバーナーの火を効率よく受け止め、水や調理する食材に熱を伝える機能もあるのかもしれない。実際はどうなのかわからないが、MSRであれば、それくらいのことを考えていそうだと思う。
スタッキング性のよさも1.3ℓクッカーの特長
最後に、1。3ℓという少し大きな容量について。 浅型クッカーは、容量1ℓ以下だと高さがないため、一番小さな110ガス缶でもクッカー内に収納できないものが案外多い。だから、スタッキング性に劣ると言われている。 しかし容量が1。3ℓと少し大きくなることで、110ガス缶も含めて、調理に必要な道具を上の写真のようにすべて収納ができるのも大きな利点だろう。MSR/セラミックソロポットは、そうしたスタッキング性もよく考えられたつくりになっている。 調理時やラーメンをクッカーから食べるときに持ちやすい大型のラバーグリップ付きハンドルも、着脱可能ながら、収納時にはクッカー内に入れるのではなく、折りたたんでフタのストッパーになる。 これにより、クッカー内に収納できる長さのハンドルにする必要がなく、クッカー内にスペースを生んでいる。 本当によく考えて、つくられている。 またガス缶を取り出せば、袋ラーメンをそのまま収納可能。乾麺が割れずに持ち運びできれば、ラーメンの美味しさは自宅で作るのと同様だ。 もちろんラーメン以外の料理も、1。3ℓの大きさがあれば、手間なくできる。ちなみに上の写真の、パウチに入ったトマトを使ってサバ入りトマトカレーもつくってみたが、水分少なめでもコゲつくことなくセラミックコーティングが効果を発揮してくれ、美味しくできた。 湯沸かしだけならULクッカーが一番だが、簡単な料理をするなら、私の経験ではちょっと大きめ浅型コーティングクッカーがベスト。 MSR/セラミックソロポットはフタに湯切り用の穴が開けられているが、炊飯も問題なくでき、炒め物、煮物、麺類と、あらゆる山メシづくりに重宝する。 山で食べる料理は、なんでも美味しい。でも、その料理を失敗なく、さらに美味しいものにして味わいたいなら、これからは選択肢の一番手として、このクッカーをオススメしたい。 MSR/セラミック ソロポット の詳細はこちら。 編集◉PEAKS編集部/文・写真◉ポンチョ/写真◉長谷川拓司
PEAKS編集部