【夏の甲子園決勝】ロースコア必至 関東一は今大会無失点の京都国際2年生左腕・西村一毅を攻略できるか?
【グラウンド状況を利用した打撃】 京都国際は1回戦からエースの中崎琉生(るい)と交互に先発完投してきたが、準決勝で初めて継投。西村はリリーフで5回を投げた。決勝は順番的には西村先発だが、2年生であること、猛暑を考えると完投を求めるのは酷。中崎が先発でなるべく長く投げ、西村につなぎたいところだろう。 中崎はセンバツでは本来の投球とは違う力に頼った投球で持ち味を出せなかったが、今夏の甲子園では球速を落とし、コーナーを突く投球で好投している。ただ、中崎はチェンジアップで勝負するよりスライダーとの両サイドの幅を使って投球するタイプ。西村の方が攻略難易度は高いと思われるだけに、中崎が何イニング投げられるか。 チェンジアップは強振しては打てない。できるだけ引きつけて、逆方向に軽打する意識が必要だ。どちらのチームともそれができる打線。決勝でも背伸びせず、いつもどおりやれるか。気持ちよく打てない以上、心がけるべきはいかに出塁するかとアウトでもいかに進塁打を打つかになる。 今夏の甲子園は雨天中止がゼロ。雨が降ったのは神村学園と大社の試合ぐらいだ。地面が硬く、ゴロはいつも以上によく跳ねる。クリーンヒットは出なくても、グラウンド状況を利用した叩きつける打撃をすれば、内野安打や進塁打にはなりやすい。 チェンジアップを空振りせず、何とか当てられるか。準決勝では神村学園、青森山田(記録は投手ゴロだが、捕球していれば併殺)が守備のミスで決勝点を許したように、わずかな守りのミスが勝敗を分ける可能性が高い。高いゴロを転がせば、その可能性は高まる。ミスを誘えなくても進塁打にはなる。 どちらが多く、無駄なアウトを減らせるか。似たようなチームカラーだけに、泥臭くつなぐ意識のより高い方に勝利の女神は微笑むはずだ。
田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka