〈タイメックス〉とアメリカンスポーツの話。
〈タイメックス〉=アメリカンスポーツ。その図式ができたのは’80年代のこと。’86年に「アイアンマン 8ラップ」というスポーツウォッチがデビューするや否や、クールな顔つきや機能性の高さから、なんと年間40万本に上るセールスとなった。そんなスポーツウォッチの金字塔の爆誕前夜、〈タイメックス〉がもう一つの名作スポーツウォッチを生んでいたことはあまり知られてない。それが「アトランティス 100」。当時のデジタル時計としては珍しく100m防水機能を備えたため、海中に沈んだ幻の大陸「アトランティス」の名を冠した一本は’86年1月、NFLの祭典「スーパーボウル」のTVCMで宣伝されると一躍大ヒット。 〈TIMEX〉 ATLANTIS 100 NUPTSE
四隅をビスで留めたようなデザインは、後にアメリカンスポーツウォッチの象徴的モデルとなった先述の「アイアンマン 8ラップ」にも引き継がれたことから、さしずめ“プレ・アイアンマン”とでもいったところ。2020年に復刻されたこの「アトランティス 100 ヌプシ」は、初代はメタルだったケースをヴィヴィッドなカラーに、「EXPEDITION」「ATLANTIS」といったゴシック体がポップに躍る、実にアメリカンなデザイン。この佇まいは僕らの大好物な4大スポーツのスローバック・ユニフォームにも通ずる。ブルーはさながらドジャースか。そんな一本を着ければ、画面越しにオオタニを応援するときにも、きっと気分を高めてくれる。
インフォメーション
〈TIMEX〉 ATLANTIS 100 NUPTSE 初代モデルが1985年に発売された〈タイメックス〉の隠れた名作。北米では「エクスペディション」と呼ばれる。ドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の作中ではホッパー署長が着けるなど、アメリカの原風景的なモデルだ。ケース径40㎜、クオーツ、100m防水、レジン素材。各¥10,450(タイメックス/ウエニ貿易☎03·5815·5700) photo: Ryohei Ambo, styling: Kazuro Sanbon, grooming: Risa Fukushima, edit: Koji Toyoda(2024年7月 927号初出)
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