「千葉、埼玉、新潟ではおなじみ?」「酸味と甘味のバランスが最高!」…。学校給食の超ロングセラー「アップルシャーベット」を作る中小企業はこんなにも凄かった!
―果物の内側にもシロップの甘みが染み込んでいるんですね! シロップの甘みとりんごのフレッシュ感がおいしさの決め手です。熱を加えると缶詰の煮りんごと同じ風味になってしまうので、60℃のシロップを使う工程以外では加熱していません。 紅玉を使っているのもポイントで、酸味がしっかりしているので、シロップの甘さと引き立て合うんですよ。これが生で食べておいしいふじなどの品種だと、ただ甘ったるいだけのメリハリのない味になってしまいます。
―紅玉は皮も鮮やかな赤色できれいですね。 見た目もいいですし、皮は栄養もおいしさもあるのでむいてしまうのはもったいないですよ。 弊社では、きれいでおいしそうな商品に仕上げるために、りんごをカットする作業は今でも人の手で行っています。りんごの皮は小さな傷や黒い点々が付いているので、一つの商品に集中しないように人の目で見てカットする必要がありまして。 そして何より、大きさを揃えるうえでも人の手が欠かせません。学校給食では隣の子とサイズ感が違うことは大問題でして……。ケンカになってしまいますからね。りんごは3つ割り、4つ割りにしているのですが、できる限り同じサイズになるように見ながら切る作業は人の手に頼る必要があります。
―なるほど……! 子どもの頃っておやつのちょっとしたサイズ感の違いもすごく気になってましたね。 味のうえでも人の手のほうがいいんですよ。カットした後に芯と種の部分をくり抜くんですけど、ちょっとでも種や芯が残っていたらおいしさを損なってしまいます。どれぐらいくり抜くかは個体差があるので、機械だけでは処理しきれなかったのも実情です。 ―きれいにカットしたり、種や芯を取るといった地道な工程を大切にしているからこそ、みんなに長く愛されるデザートになっているんですね。
ありがとうございます。私自身も給食でアップルシャーベットが出た日は嬉しかったですね。休みの子がいて数が余った時はじゃんけんで争奪戦になっていました(笑)。今でも懐かしいと買ってくださる方がいるのは、給食での思い出があるからでしょうね。 ■福島の会社だが、千葉や埼玉などに多く出荷 ―通販をしていることを知って、喜んでいる人をSNSで見かけますよ。 実は親の会社が作っていることを知らなくて、小学校高学年の頃の担任の先生が「これお前んとこで作ってんだぞ」って言われてものすごくびっくりした記憶があります。