《ブラジル》三重県忍者イベントに約650人来場=SNS発信で遠方からも続々=手裏剣投げや装束の体験で
三重県による文化普及のための「忍者イベント」が16日(土)、17日(日)にサンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会で開催され、予想を超える計約650人が来場して忍びの歴史や文化に接して楽しんだ。 県庁と県人会が力を合わせて一般社会向けに日本文化や歴史を普及するイベントは珍しく、漫画アニメの忍者キャラ人気と相まって、次々に来場者が訪れていた。 「とても面白いイベントだ。子供にサンパウロを見せたくて、リオからやってきた甲斐があったよ」と語るのは、ロベルト・マデイロスさん(46歳)。家族で観光旅行にサンパウロ市を訪れ、子供のリクエストで真っ先にリベルダーデにやってきたという。同一家は16日午前11時、開場直後に訪れ、マデイロスさんも手裏剣投げを楽しんだ。 娘のララさん(16)はさっそく忍者装束を着て記念撮影。「このイベントはSNSで知った。ナルトが大好きだから、前からこの装束を着てみたかった。とっても満足」とほほ笑んだ。 イベント会場の正面入り口には、伊賀忍者特殊軍団「阿修羅」頭領の浮田半蔵(うきたはんぞう)氏がビデオで「忍者修行にようこそ」と歓迎の挨拶をして印(忍者のポーズ)を結び、パネル展示で三重県や伊賀の里、印の解説に続く。忍者装束を体験し、更にゴム手裏剣投げにも挑戦でき、得点に応じて伊賀流忍者博物館の記念品が進呈されていた。
このイベントは、三重県が世界に誇る忍者文化の一端を知ってもらおうと、ブラジル三重県人文化援護協会(広瀬哲洋会長)と連携して企画された「ブラジルサンパウロ州における三重の伝統文化理解促進事業」の一環だ。 これは10月から続く3連イベントの最後で、いずれも「みえ友パウリスタ」が協力した。「みえ友パウリスタ」とは、県とサンパウロ州の交流の懸け橋となって当地に県の魅力を発信するサポーターのこと。今年1月に県交流事業で2週間の訪日研修を受けた際、「みえ友パウリスタ」は伊賀市を訪問し忍者修行を体験。そこで教わった一部をブラジルで伝えた。 みえ友パウリスタの一人で、当日忍者衣装を着て客対応をしていた高橋ヴィートルさん(23歳、3世)は「三重での研修は素晴らしい体験だった。こうやってそれを伝えられてうれしい。もっと日本のことが知りたくなり、30日に長期滞在するつもりで訪日する。日本語を勉強して日本のIT企業に勤めたい」との希望を語った。 広瀬会長(76歳、三重県四日市市出身)は「このイベントは、三重県がサンパウロ州との姉妹都市提携を重要視してくれている証拠であり、本当にありがたい。県のPRを県庁と一緒にでき、役に立てるのは光栄なこと。ユーチューブとか映画だけではなく、実際にこうして体験してもらうことで、きっと子供の人格形成にも良い影響を与えるのでは」とほほ笑んだ。 来場者で、他県人会の関係者は、「私の出身県でもこのようなイベントができたらいいのに」と羨ましがっていた。