陸上日本選手権で見つけた“ある異変” 偏差値70超の公立進学校→アメリカ名門大へ…「高校では超無名」愛知の19歳はなぜ日本の頂点に立てた?
誰にも予想外の優勝だった。 新潟で行われていた陸上の日本選手権。同大会では、同時に20歳以下の選手で競うU20日本選手権も共催されていた。8月にペルー・リマで行われるU20世界選手権の選考会も兼ねた大会の男子1500mで優勝したのが、樋口諒(カンザス大)だった。 【写真】「上腕二頭筋エグい…本当に中距離選手?」U20日本選手権優勝カンザス大・樋口諒(19歳)のバキバキのフィジカル…久保凛、ドルーリー朱瑛里らシニア日本選手権で活躍した高校生たちも見る(50枚超) 「優勝できるとは思っていなくて……ビックリです。この大会は予選突破を目標としてやってきたんですけど、まさか勝てるとは思っていなかったので、すごく嬉しいです」 同種目は基本的に「駅伝強豪校」といわれる高校や大学の選手の中で、スピード自慢が集うケースがほとんどだ。今回も「優勝候補筆頭」だった川口峻太朗(洛南高)を軸に、早大や東洋大、城西大といった箱根常連校のルーキーたちがどう絡んでくるかが注目ポイントだった。
まさかの優勝…伏兵はアメリカ・カンザス大所属
ところが終わってみれば、優勝を攫ったのが樋口だった。駅伝強豪校ではないどころか、日本国内の大学ですらない。アメリカ・カンザス大所属のランナーだった。 ただ、陸上競技に詳しい人間であっても、樋口の存在を知っている人はほとんどいなかったのではないか。それもそのはず、高校時代の樋口は全国レベルでの実績らしい実績はほとんどないと言ってよかったからだ。 「高3のインターハイは800mで出場して、準決勝で敗退しています。とてもじゃないけど日本一を争うようなレベルではなかった」 そう本人も振り返る。転機となったのは、そのインターハイ後に樋口のもとに届いた一本の連絡だった。 「アメリカの大学に興味はありませんか?」 連絡をくれたのは、海外の強豪校への入学を斡旋するエージェントだったという。樋口の中距離走者としての素質を見込んで声をかけてきたのだ。ただ、当時の樋口は全国大会こそ出場したものの、前述のように高校トップクラスのランナーではなかった。 実はエージェントが樋口に声をかけたもうひとつの理由が学業成績の優秀さだった。 当時、樋口は愛知県屈指の進学校で、東大・京大を含む旧帝大に毎年100人近い合格者を出す県立一宮高校に通っていた。語学面や勉強面でもある程度の素養があると判断してのリクルーティングだったという。 そしてその一報は、当人にとってまさに青天の霹靂だった。 「もう高3の8月でしたし、当時は普通に筑波大とか陸上も強い国公立大の受験を考えていました。でも、エージェントの話を聞くうちに奨学金とかの制度もあって『これはいいぞ』と思うようになりました。そこで思い切ってアメリカ行きを決めて、中距離が強い陸上部のある大学を選んで……という流れでした」
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