最近よく聞く「非認知能力」って何? 注目が集まる“勉強だけでは身につかない力”
それでは、認知能力(学力)でも教科が分かれているように、非認知能力のほうもいくつかに分けてみることにしましょう。【非認知能力を具体的に整理してみると】の図をご覧ください。 いろいろな学者たちが研究しているレベルで細かく具体化してしまうとわけがわからなくなってしまいますので、ここでは3つのグループに分けてみることにしました。 この分け方もいろいろな学者や専門機関によって異なってくるのですが、私は、特に幼稚園や保育所、こども園の先生たち、小中学校や高校の先生たちと一緒に非認知能力の育成に取り組んできたことから、先生たちにとってわかりやすく使いやすい3つのグループをつくってきました。 そのグループをここでも紹介しておきますね。
1.自分と向き合う力
私たちはイヤなことや苦しいこと、難しいことやしんどいことに直面すると、あきらめたり、落ち込んだりしてしまいがちです。 しかし、そんなときであっても、もとの自分の状態へ戻していくことができます。 そのために、自分の気持ちを落ち着けようとする自制心や、ぐっとこらえる忍耐力、気持ちを切り替えようとする回復力などを発揮します。 こうした力のグループを「自分と向き合う力」と呼ぶことにしています。
2. 自分を高める力
一方、私たちは今の自分をもっと成長させていこうともします。 そのためには、よりよくしていこうとする意欲や向上心、自分ならできると自分を元気づける自信や自尊感情、物事を前向きにとらえていける楽観性などを発揮していきます。 これらの力のグループを「自分を高める力」と呼ぶことにしています。
3. 他者とつながる力
先ほどまでのふたつの力は、自分自身の内面の力のグループでした。3つ目は、ほかの人たちとの関係性をつくっていくための社会的な力のグループです。 私たちは人とつながるために、お互いの思いや考えを共有していきます。 そのためにコミュニケーション力が必要ですし、相手のことを思いやるためには共感性も必要です。 さらに集団の中では、社交性や協調性も必要になってくるでしょう。このような力のグループを「他者とつながる力」と呼ぶことにしています。 こうして非認知能力もいくつかに整理してみると、先ほどの認知能力(学力)の教科のように、どの力が得意で、どの力が苦手なのかがわかりやすくなりますよね。 ちなみに、みなさんはどの力が得意ですか? しかし、気をつけてくださいね。 認知能力(学力)は高ければ高いほどよいことがありそうですし、満点を取れればなおさらですが、非認知能力は、高ければ高いほどよいというわけではありません。 がまん強いと、自分の感情までがまんしすぎて相手に自分の気持ちが伝わりにくくなってしまったり、自信がありすぎると過信になって無謀なことをやってしまったり、だれとでも仲よくしようとしすぎるあまり自分の主張をしなくなってしまったり、いろいろなマイナス面につながりかねません。 そのため、非認知能力は単純に伸ばせばよいわけではなく、それぞれの場面や状況によって使いこなすことも必要だと、ぜひ知っておいてください!
中山芳一(All HEROs 合同会社代表)