日本で首位デビュー「シビル・ウォー」制作のA24、新興スタジオが映画界の常識を打ち破る作品で台頭
■語られてこなかった人にスポットを当てる 一方、前出の重役は、「今までに語られていない話を語りたい。それらの話は、たまたま、多様な人たちのものであることが多い。その人たちは、自分の声を聞いてもらうチャンスを与えられませんでした。これからも私たちはその姿勢を貫いていきます」と、決意を示す。 そんなA24の作品は、これから日本の映画ファンにとってますます身近になっていきそうだ。昨年、ハピネットファントム・スタジオ(HPS)が、A24の映画を日本で独占配給する契約を結んだのである。
過去には違った配給会社が作品ごとに買い付けていたため、特定の作品が果たして日本公開されるのか、すぐにはわからなかった。ただし、この契約の前に別の会社が日本の権利を買い付けていた作品もあるため、この後もしばらくは別の配給会社が日本公開をするケースもある。 HPSの代表取締役、小西啓介氏は、北米の配給会社としてA24に早くから注目をしていた。初めて取引をしたのは、2016年のトロント国際映画祭で『ムーンライト』を見て感激し、国際部の担当者をニューヨークにあるA24のオフィスに送り込んで日本の配給権を買い付けた時だ。
その後も『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』などA24の作品を買い付けるうちに、求める作品の方向性、フィルムメーカーを大切にする姿勢などが自分たちと共通すると感じ、包括的な契約をできないかと話を持ちかけた。 「『エブリシング・エブリウェア』でオスカー作品賞を取るなど、勢いに乗っているところでしたし、世界での市場にどう挑むかということについても彼らは考えていたところだったと思います。会社のブランドもマーケティングし、それをまた個々の作品の宣伝にフィードバックするうえで、ひとつの会社にまとめて配給してもらうほうがよいとも思ったのでしょう。作品のテイストもですが、そのあたりでも思いが一致しました」(小西氏)