AE86の再来ともてはやされたのが不幸の始まり アルテッツァは悲運のアスリート
デビューの2年前からスクープ
そんなセダン受難時代の1998年に登場したのがアルテッツァだ。ほぼ5ナンバーサイズのFRセダンへの期待感は激高だった。 自動車雑誌『ベストカー』は新型車のスクープを売りとしているが、アルテッツァのスクープ情報はデビューの2年前くらいから誌面を賑わせていた。実際にアルテッツァのスクープを掲載した号は売り上げが伸びる、つまりユーザーが登場を心待ちにしていたのだ。 デビューまでにエンジンラインナップ、トランスミッション、エクステリア&インテリアデザインの詳細、車名などが段階的に明らかになり、『ベストカー』の編集部員だった筆者も、当時アルテッツァの情報に一喜一憂していたのが懐かしい。当然読者からの問い合わせも多かった。
ほぼ5ナンバーサイズで登場
アルテッツァは1998年10月30日に正式発表され、発表と同時に販売を開始。ボディサイズは全長4400×全幅1720×全高1410mmで、全幅は1700mmを超えるため3ナンバー登録となるが、ほぼ5ナンバーと言っていいコンパクトなセダン。そしてアルテッツァで最も重要なのは、駆動方式がFRということ。コンパクトなFRということがアルテッツァの存在意義なのだ。 エンジンは2L、直4DOHC(210ps/22.0kgm)と2L、直6DOHC(160ps/20.4kgm)の2種類を設定。スペックからもわかるとおり、スポーツモデルは直4搭載モデルだ。直4搭載モデルがRS200、直6搭載モデルがAS200というグレードとなっていた。クルマ界では数が多いほうが偉いのが一般的。4気筒より6気筒が上級となるなか、アルテッツァは4気筒のほうが上に位置していた点では珍しい。この理由については後述する。トランスミッションはRS200が6MTと5ATに対しAS200は4ATのみと差別化。 価格は207万~250万円と、当時でも買い得感の非常に高い設定となっていた。
セダンながらクーペフォルムを採用
トヨタはセダンイノベーションの一環として、2代目アリストの登場を機にFRプラットフォームを刷新。そのプラットフォームはプログレ、アルテッツァにも使われている。ただし、アリスト、プログレのホイールベースが2780mmなのに対しよりコンパクトなアルテッツァは2670に短縮されている。 アルテッツァのエクステリアデザインは直6エンジンを搭載していることもありロングノーズ&ショートデッキのクーペフォルムを採用している点が特徴だ。また、前後のオーバーハングを切り詰めたことでスポーティ感を好演出。フロントマスクは今のクルマと比べると若干おとなしい感じがする比較的オーソドックスなもの。当時からもう少し精悍なフロントマスクだったら、という願望は聞かれた。一方丸灯を埋め込んだクリアテールは個性的なデザインで、ひと目でアルテッツァとわかって好評だった。