“午後は丸ごと探究”でシブヤの学校はどう変わった? 教員も奮闘。受験目前、中3クラスを取材した
◆段階的に進路選択やキャリア意識の形成につなげていく
後期には、前期に取り組んだ課題解決型学習をさらに進展させ、東京大学の学生の協力のもと、アントレプレナーシッププログラムに取り組みます。 アントレプレナーシップとは、起業家精神のこと。自己分析や自分がやりたいこと・できること、社会の課題やニーズを掘り下げたうえで、個人またはグループで実際にビジネスプランを立案します。取材時はこのプログラムが始まった時期で、約1カ月間でビジネスプランの立案までこぎ着ける計画だと言います。 そして、課題解決型学習やインスパイア・ハイのセッション、アントレプレナーシッププログラムなどを通して見えてきた、自分の在り方や自分の興味・関心を起点に、その後は進路に向けてMy探究を深めていきます。 「受験勉強と並行して自己分析を重ね、自分が行きたい学校、高校やその先でやりたいことなどを掘り下げていきます。これは入試の面接などでも役に立つでしょうし、何よりこれからの人生を歩むうえでとても大切になるでしょう。受験が終わってからは、卒業後に向けて、個人で調べたいこと、探究したいことに取り組んでもらう予定です」(古谷先生) シブヤ未来科が始まり半年あまりがたち、現場の先生方はどのように感じているのでしょうか。最後に、古谷先生に今の率直な気持ちをお聞きしました。 「シブヤ未来科は前例のない学びで、私たち教員は手探り状態でここまできました。当初は教科の授業時間が1割カットされると聞いて、正直、戸惑いもありました。今も、時間割の管理に奮闘する日々です。それでも、答えのない問いについて生徒に伴走しながら一緒に深めていったり、新しいことに挑戦したりすることは、私自身とても楽しいです。何より、探究を通して生徒の意外な一面が見えてくることや予想外の成長に驚かされることがとても多く、取り組む価値があると実感しています」(古谷先生) この記事の執筆者:笹原 風花 ライター・編集者。奈良県出身、東京在住。第2の故郷はオランダ・ライデン。高校生向けの大学受験情報誌の編集部に4年間勤めたのち、制作会社勤務を経て2014年に独立。取材・執筆分野は教育や学びを中心に多岐にわたり、企業の社内報や広告制作などにも携わる。
笹原 風花