“午後は丸ごと探究”でシブヤの学校はどう変わった? 教員も奮闘。受験目前、中3クラスを取材した
「未来を生きる子どもたちに必要な力とは何か」という問いを起点に、学校での学びを根本から見直した渋谷区。2024年度から区立の小中学校で探究学習「シブヤ未来科」を始動させ、半年あまりがたちました。 実際、どのようにカリキュラムや授業が設計されているのか、渋谷区立渋谷本町学園の9年生(中学3年生)を取材しました。
◆修学旅行をプロジェクト型の探究学習として設計
シブヤ未来科のカリキュラムは、総合的な学習の時間を軸に、教科、特別活動、道徳、学校行事の一部も含み、教科横断の総合的な学びとして展開されています。 そのベースとなるのが、探究学習です。探究学習とは、自分が興味・関心のあるテーマについて自ら問いを立て、知識や情報を収集したりアクションを起こしたりしながら深めていく学びのこと。シブヤ未来科では、児童・生徒一人ひとりが探究テーマを自分で決め、「My探究」に取り組みます。 My探究の位置付けや年間の課程は、学校や学年によりさまざま。今回取材をした小中一貫教育校の渋谷区立渋谷本町学園の9年生(中学3年生)では、探究学習を段階的に進路選択やキャリア意識の形成につなげています。同校で9年生を担当する古谷香代子先生に、シブヤ未来科の年間の流れを聞きました。 「9年生の前期(渋谷区立の小中学校は前・後期の二学期制)のシブヤ未来科では、京都・奈良への修学旅行の事前・事後学習を行いました。ただ旅行するのではなく、グループごとにテーマを決め、現地でどこを訪れるか・誰に話を聞くのかを考え、最後は課題に対して自分たちなりの解決策を提案する、というプロジェクト型の学習として設計しました」(古谷先生) 例えばAさんのグループは、宇治抹茶の起源とお香の歴史について調べました。 「事前学習で基本的なことを調べたうえで、実際に現地に行って、当事者の方にお話を聞きました。そこで知ったお茶の生産者さんが抱える後継者問題や、お香の伝統文化が浸透していないという課題に対して、事後学習として、茶葉のパウダーを使った食べ物や香水を提案しました」(Aさん)