身近な異変も。2024年の気候変動にまつわる印象的なニュース12選
暑すぎる夏が長引き、春や秋は短くなり、季節の移り変わりが一段と急激に感じられた2024年。また、ゲリラ豪雨や台風の激化など、極端な気象現象ももはや“当たり前”のようになっている。 今年は日常生活のなかで、こうした地球温暖化の影響をダイレクトに感じとった人も多いはず。気候変動にまつわるニュースも多く、「2024年は史上最も暑い年になる見通し」というニュースも報道されたばかり。ここでは、そんな今年の気候変動に関連する印象的なニュースや、温暖化の影響を身近に感じられた出来事12選を振り返る。
2月:冬の絶景「御神渡り」が危機。6季連続「明けの海」に
長野県・諏訪湖の冬の風物詩「御神渡り(おみわたり)」が、2018年を最後に観測されていない。今年の2月初頭には、御神渡りが出現しないことを意味する「明けの海」が6年連続で宣言された。 御神渡りは諏訪大社に伝わる「七不思議」としても有名で、諏訪湖が全面結氷することが発生条件のひとつ。昼夜の寒暖差で氷が伸縮を繰り返すうちに亀裂が入り、巨大な氷の筋が湖面を走ると、御神渡り出現となる。神様が通った跡のように見えることからその名が付き、神事として室町時代から観測が続けられてきた。 しかし近年、その出現頻度は大きく減少している。原因として指摘されているのが、都市化にともなうヒートアイランド現象。2010年、諏訪地方の都市気候と御神渡りの関係性を調査した報告には、「諏訪湖盆地内では都市化に伴いヒートアイランドが形成され、その昇温の影響が局地循環(風の流れなど)を変化させ、御神渡りの発生頻度を低下させていることが明らかとなった」とある。 こうしたローカルな要因に加え、地球規模で進行する気候変動も大きな要因とされてきた。2016年、『サイエンティフィック・リポーツ』に掲載された論文によれば、大気中のCO2濃度と諏訪湖の氷結日の相関関係は、産業革命以降に一気に強まっているのだそう。平たくいえば、CO2排出量の増加が湖の氷結を妨げている可能性があるということ。同論文では、「人口増加、土地利用の変化、水管理などの地域要因が影響を与えているものの」「気候変動や気候の変わりやすさなどの地球規模のプロセスが、氷の氷結・融解の長期的な変化を引き起こしていることを示唆している」と明らかにしている。 このままCO2排出量が増え続け温暖化が進めば、諏訪湖の御神渡りは二度と見られない「幻の現象」となってしまうかも。はたして2025年、私たちは7年ぶりの御神渡りを拝めるだろうか?