身近な異変も。2024年の気候変動にまつわる印象的なニュース12選
3月:卒業シーズンに桜なし? 各地で桜の開花が“鈍く”なる
西日本や東日本で、予想よりも桜の開花が遅れた2024年。東京では昨年のおよそ半月、福岡では9日ほど遅れ、「お花見を予定していたのに、まだ桜が咲いていなかった」という人も少なくなかったはず。一般的に考えると、温暖化によって気温が高くなれば桜の成長が進み開花は早まりそうなもの。ではなぜ、今年の桜はなかなか咲かなかったのだろうか? 土壌の健康・栄養状態なども桜の成長に関わるのはもちろんだけれど、今回主な要因として考えられているのが、「休眠打破」が十分に行われなかったという点。休眠打破とは、冬に入る前に休眠状態となった桜のつぼみが、冬の厳しい寒さによって再び目を覚まし、成長を再開すること。つまり、「目覚まし」役となる冬の寒さが、温度・期間ともに足りていないと、その後の桜の成長が遅れることになる。 温暖化やエルニーニョ現象により、2023年~2024年の日本の冬の平均気温は過去2番目の高さを記録。その結果、休眠打破がきちんとできなかった桜が、“鈍い開花”を迎えることになったと考えられる。 環境省のメディア『デコ活』によると、こうした現象が起きやすいのは温暖な地域。逆に、北日本など寒い地域では休眠打破がじゅうぶんにできるため、温暖化によって春の気温が上昇すると、どんどん開花が早まる傾向にあるという。 九州大学名誉教授の伊藤氏の研究によれば、このまま温暖化が進むと2100年には九州から東北南部までほぼ同じタイミングで桜が開花するようになる。それだけでなく、現在の桜の南限である種子島や南九州では、桜が咲かなくなるおそれさえあるという。気候変動が桜の季節にも影響を及ぼすなか、これまで当たり前だと思っていた春の風景が、少しずつ変わっていく可能性がある。
4月:暑さで法律も動く。「改正気候変動適応法」によってクーリングシェルターを指定!
毎年記録を更新するような夏の暑さとともに、熱中症患者も増え続けている。2024年の夏、全国で熱中症によって救急搬送された人の累計は、調査を開始した2008年以降最も多い人数となった。 気候変動による極端な高温のリスクが今後さらに高まることが予想されるなか、2023年5月に気候変動適応法が改正。2024年4月1日から施行された。この法律はもともと2018年に制定されたもので、地域ごとの気候変動対策や情報整備を強化することを主な目的としていた。 今回の改正で盛り込まれたのは、「熱中症対策の強化」。これにより、熱中症対策実行計画は、「法定計画」へと格上げされ、これまで以上に総合的かつ計画的に熱中症対策が推進されることに。 具体的には、これまでの「熱中症警戒アラート」に加え、さらに危険な暑さが予想される際に発表する「熱中症特別警戒アラート」を新設。また、暑さが厳しい際に“避難所”となる「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)」を設けることなどが、今回のポイントになっている。 もはや誰にとってもひとごとではない熱中症。2025年の夏は、上記のアラートやシェルターをチェックして、自分や家族を厳しい暑さから守れるようにしておきたい。