身近な異変も。2024年の気候変動にまつわる印象的なニュース12選
4月:歴史的勝訴! 「スイスの気候変動への対策不足は人権侵害」との訴えが認められる
4月9日(現地時間)、ヨーロッパ人権裁判所は、「スイス政府の気候変動への対策不足は、人権侵害にあたる」という市民の訴えを認める判決を言い渡した。 この訴えを起こしたのは、70代の女性を中心とする2000人以上のスイスの市民グループ「環境を守るシニア女性の会(KlimaSeniorinnen)」。同団体の支援も行う「グリーンピース」によれば、「(高齢女性という)年代と性別によって、気候変動による熱波の影響を特に受けやすく、命の危険がある」とし、2016年ごろから訴え続けてきたそう。 ヨーロッパ人権裁判所とは、欧州人権条約に基づき1959年に設立された司法機関で、気候変動について判決を下したのはこれが初めて。まさに歴史的勝利といえる出来事となった。 同グループ共同代表を務めるローズマリー・ウィルダー=ウォルティさんは、「この判決は、私たち団体だけの勝利ではありません。すべての世代にとっての勝利といえます」と語っている。
6月:観光にも影響……ギリシャで史上最も早い「熱波」により、遺跡を閉鎖
ギリシャの首都アテネでは、6月12日(現地時間)に発生した熱波の影響で、正午から午後5時まで世界的に有名なアクロポリス遺跡を閉鎖。パルテノン神殿をひと目見ようと訪れた観光客のなかには、困惑する声もあがったよう。 ギリシャでは気温38度以上の日が3日続くことを「熱波」と定義している。2023年7月にも熱波の影響でアクロポリスが閉鎖されたことがあったが、国営テレビの気象学者であるパノス・ギアノプロス氏は、「熱波が6月19日以前に発生したことは、20世紀には一度もなかった。今世紀に入ってからは何回かあったが、それでも6月15日以前に起こったことは一度もなかった」と語っている。 異常な熱波はギリシャに限った話ではない。国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」による、2023年7月の世界的な熱波に関する報告では、こうした異常な熱波は「人為的な気候変動がなければ、非常に稀な現象であったはず」と記されている。さらに、「世界が化石燃料の使用を早急にやめない限り、こうした現象はさらに頻繁になり、より高温で長期間続く熱波が発生するようになる」と警鐘を鳴らしている。今回のギリシャの“史上最速”の熱波に関してはその分析を待つところだけど、たしかにその頻度や深刻度は上がっているといえそう。 熱波のせいでせっかくの旅行はおろか、日常の外出も楽しめない。そんな状態は誰にとっても好ましくないはず。