<女子バレー>既成概念捨て挑む非常識な新戦術「Hybrid6」とは──眞鍋監督に聞く
新戦術が機能しはじめ、予選で韓国、中国に勝利
勝利したワールドグランプリ予選の韓国戦。先発はセッターが宮下(遥)、その対角に江畑、さらには木村-新鍋(理沙)、山口(舞)-長岡。従来の呼び名なら、木村と新鍋がレフト対角のウイングスパイカーで、山口と長岡がミドルブロッカーというポジションだ。 相手スパイクをレシーブした後の切り返し。前衛レフトに長岡、ミドルに宮下、ライトに木村、そしてバックセンターに江畑、バックライトに新鍋。宮下はレフトの長岡へ速いトス。後ろから突如現れたかのような長岡に韓国ブロックはついてこれず、鮮やかに決まった。宮下にディグが入ったときのフォーメーション、長岡そして木村までもがかなり後ろまで下がっていた。前衛に誰もいないような、まるでバックから4人が攻撃しているかのようだった。 翌日の中国戦は布陣を一新。セッターに中道(瞳)、対角に石井(優希)、内瀬戸(真実)-高田(ありさ)、石田(瑞穂)-大野(果奈)で、石田と大野が従来で言うミドル。前から後ろからと石井が躍動、高田、内瀬戸もサイドからの速い攻撃で続き、予選第2週、0-3で敗れていた中国に3-1で快勝。このパターンも有効だ。
新戦術ではセッターが重要な役目
──なるほど。ローテごとに、ポジションが変わっていくというか、一番選手の長所を活かすことができて点が取れるポジションにつくということですね。となると、操るセッターは大役ですね。中道さん、宮下さんの2人が軸ですか? 眞鍋監督 そうですね、今の段階では、中道、宮下でいく感じです。新戦術ではセッターが重要になってくると思いますね。コンビ(ネーション)が複雑ですからね。それからトスの配分ですね。日本が勝つためには、5人のスパイカーにある程度均等にトスを上げないといけない。今までは、ロンドン五輪など、木村と江畑の打数が非常に多かった。それでは勝てない。新しい戦術では3人のパスヒッター以外の選手、ポイントゲッター5人の打数を均等にする。だいたい1人が4点、4×5で20点取ってくれたら、相手のミスもあるので間違いなく勝てる計算です。 ──均等になればなるほど、相手ブロッカーは的をしぼれない……。 眞鍋監督 そういうことですよ。反対に言えば、1人の選手、2人の選手に集中してしまうと負ける。そういうセットや試合は負けていることが多いです。 ──ただ、監督もセッター出身、ここってときセッターは当たっている人、一番コンビがあっている人を使いたくなるものでは? 眞鍋監督 そういうのはやっぱりありますが、数字は客観的に現状を正確に判断できる材料なので、それをもとに「トスの配分を考えて」と選手には伝えています。もちろんバレーボールという競技では、大きい大会になると、“ラッキーガール”が出ますから、その選手にいちはやく気づいてトスを上げるということも大事です。簡単なことですよ、決まらない選手に多く上げれば、負けるわけですから。だから、トスの配分と勝負どころを考えてやらないと。