「イノウエこそ、真のチャンピオン」…元世界ヘビー級王者がネリ戦を見て絶賛する井上尚弥の「他にはない強さ」
誰がナンバーワンかって問われれば
「ナオヤ・イノウエは、まさにBeast(野獣)だ。パウンド・フォー・パウンド論って、実際に戦う訳じゃないからそれほど価値があるとは感じない。でも、誰がナンバーワンかって問われれば、俺は間違いなくイノウエを推すね」 【写真】米メディアが明かす“井上尚弥・ネリ戦の印象”と期待する“意外な対戦相手” 画面の向こうで、元世界ヘビー級チャンピオンはそう言った。1984年にWBC、1986年にWBAタイトルを獲得したティム・ウィザスプーンは、ノニト・ドネアとの第1戦から、井上尚弥に熱い視線を送っている。 ウィザスプーンは、近代アメリカ最初の首都であるペンシルバニア州フィラデルフィアで誕生し、現在はその中心街から北東におよそ47kmの地、ベンサレムで中学生の五女と共に暮らしている。5月6日に東京ドームで催されたWBA/WBC/IBF/WBO統一スーパーバンタム級タイトルマッチは、2日遅れで目にした。 「ESPNのライブ中継を見たかったんだが、スマートフォンの調子が悪くてさ、まったく困ったもんだぜ」 最重量級の世界王座に2度就きながらも、悪徳プロモーターに搾取され続けたウィザスプーンは、財を成せなかった。今もけっして裕福とは呼べない生活を送っている。ただ、底抜けに明るく、子供たちや孫に愛される男である。 元世界ヘビー級チャンプもまた、井上が喫した初回のダウンにヒヤリとした。 「ルイス・ネリとイノウエじゃレベルが違う。2ラウンドくらいでチャンピオンがぶっ倒して、試合を終わらせると予想していたよ。イノウエは、『4万人以上が埋まった東京ドームの光景を目の当たりにして、浮足立った部分があった』って試合後に言ったんだよな。 元々気が強い選手だし、早いラウンドでネリを仕留めてやろうと考えていたんじゃないか。変則ファイターで、荒々しい攻撃を武器とする挑戦者に打ち勝つ! そんな思いで接近戦を挑んで、喰らっちまった。倒そうという意識が強いばかりに、ガードが下がった。打ち終わりの拳の引きも遅れた。ボクサーだったら、誰にでもありうることだ。ただ、やはり世界戦は、そういうミスが命取りになる」