F1で2人のスペイン人ドライバーが不満を吐露 アロンソは「僕は英国ではないから」
F1のスペイン人ドライバー2人が不満を爆発させている。 まずはアストンマーティンに所属する元王者のフェルナンド・アロンソだ。第3戦オーストラリアGPと第5戦中国GPでペナルティーを科されたことを受け、海外メディアに「問題は僕の国籍かもしれない。僕は英国ではないから」と吐き捨てるように語り、「他の選手はもっと大きな問題を起こしたとしてもせいぜいけん責しか受けない。英国人であればスペイン人の僕よりも多くのことが許される」などレース審判を管理する国際自動車連盟(FIA)を非難した。 オーストラリアGPでは残り2周でメルセデスのジョージ・ラッセル(英国)をクラッシュに巻き込んだとしてレース後に罰則としてレースタイムを20秒を加算され、中国GPでは決勝前日のスプリントでフェラーリのカルロス・サインツ(スペイン)と接触し、10秒のペナルティーを科された。 そのサインツも前戦マイアミGPでペナルティーを受けた。決勝中にマクラーレンのオスカー・ピアストリ(オーストラリア)と絡んでスピンアウトに追い込んだとしてレース終了後に5秒のペナルティーを受けた。量刑は10秒が目安で軽微と判断されてはいるものの、4位から5位に降格となった。 昨季の市街地戦のラスベガスGPでもフリー走行1回目に緩んだマンホールの蓋が外れてサインツのマシンに衝突。バッテリーなどにダメージを受け、10グリッド降格のペナルティーを余儀なくされた。選手側に一切の過失はなかったが、救済措置はならされず杓子定規で罰則が下され、「何の過失もないのにおかしい」とサインツは漏らしている。 75年の歴史があるF1でスペイン人ドライバーは10人しかいない。優勝経験者もアロンソとサインツの2人だけ。スペイン国籍のチームに山本左近も所属したHRTがあったが、参戦はわずか3年の短命チームだった。ちなみに日本人でエントリー経験がある選手は20人以上いる。 欧州はF1の中心地といわれるが、特に英国、フランス、イタリアの影響力が強かった。F1は英国が本場で、多くのファクトリーが集中している。フランスは今季F1レースは実施されてはいないものの、最初の自動車レースが行われた国で、パリにFIAの本部がある。グランプリもフランス語の「大賞典」から来ている。イタリアはフェラーリに代表されるように気鋭のカロッツェリアが育った地で、現在もフェラーリ、RBの2つのイタリアチームが参戦している。 一方のスペインは二輪レースの方が盛んで、ロードレース世界選手権の最高峰・モトGP(旧500CCクラス)では4人の世界チャンピオンが誕生。下部クラスを含めてもスペイン人王者は多く、のべ54人を数える。 もちろん、国籍で差別を受けていたとなれば大問題だが、レーススチュワードも複数の国籍で構成され、裁定に偏重がないような配慮がなされている。前戦マイアミGPでも元F1ドライバーのヴィタンツォニオ・リウッツィ氏(イタリア)ら4人で、他の3氏の国籍はシンガポール、バルバドス、米国だった。 アロンソも現役最年長。来季以降もF1に現役で残るため、御意見番的な立場で運営側を牽制したのかもしれない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]