なぜ競馬界で「落馬事故」が相次ぐのか…昨年との「大きな違い」と、G1ジョッキーを襲う「悲劇の理由」
落馬事故が止まらない…!
5月8日、川崎競馬の第10レースで4頭が落馬し、3名の騎手が病院に搬送されたが、最近競馬界ではこうした事故が相次いでいる。 【写真】笑顔が消えていた…水原一平容疑者の変わりゆく表情 遡ること3月24日には、高知競馬所属で若手のホープとして期待された塚本雄大騎手が落馬事故により死去。4月10日には、JRA所属の藤岡康太騎手が落馬事故により35歳で死去するというショッキングなニュースが日本中を駆け巡った。 3月30日のドバイ・ターフでは、トップジョッキーのC.ルメールも重症を負っている。さらに4月20日の福島牝馬ステークスでは、木幡初也、吉田隼人が落馬し、競走中止に。同日の京都第4レースでは松山弘平、福島1Rでは荻野極、同2Rでは丹内祐次らも落馬した。 事故直後に「頭部の負傷」と発表された吉田隼人は、くも膜下出血の診断を受けて現在も入院中。命に別条はないが、意識障害がある状態と公表された。通算1185勝のうちG1を7勝、重賞35勝(地方含む)をマークする、キャリア21年目の名手である。 また、先週の5月5日に開催されたNHKマイルカップでも、ルメール、岩田康誠、モレイラが最後の直線で斜行し、大事故を引き起こしかねない危うい場面があった。 相次ぐアクシデントに、競馬ファンの間でもその原因を問う声が高まっているが、いったいなぜ、こうも競馬界では事故が続いているのか。
日本特有の「高速馬場」が問題?
そもそも落馬事故は、馬がレース中に故障したり、つまずいたりすることに起因するものが多い。 馬の脚元に負荷をかけ、故障を引き起こす原因の一端としてよく挙げられるのが、日本特有の高速馬場(※競走馬が速いタイムで入線しやすい、馬が着地したときの反発力が高い馬場状態のこと)だ。 高速馬場では、馬が地面を踏み込んだ時の反動や衝撃が大きく、スピードが出る分、脚への負担も増すとされている。 近年、レコードを更新する勝ち時計が頻発しているが、4月14日に行われた皐月賞でも、完走した17頭すべてが、後に「世界最強馬」となったイクイノックスの同レースのタイムを上回る驚愕のコースレコードを叩き出した。 だが、ここまで多くの若駒が「最強馬」以上に速く走れてしまうことには、「やはり行き過ぎた高速馬場が、結果的に馬に負担をかけているのではないか」という疑問も浮かぶ。