【証言・北方領土】択捉島・元島民 長谷川ヨイさん(3)
元島民と家族同然の付き合い
―今でも連絡とることある? とる、うん、いるいるいる。網走のね、お寺の娘、網走引っ越していったお寺の娘さんとはさ、兄弟みたいにね、今でもお付き合いして。手紙(やりとりしたり)。うん。そして、船で、また入里節行くよって言ったらね、おんなじ部屋にしてってね、申し込んだりしてさ。 ―一緒に行く? うん、してる、してる。だから、今年も一緒に行ったからね、もう兄弟みたいに。今もね、「ほら、サンマとれたから送った」とか、「どこからタマネギ来たとか」って、そういうやりとりのおつきあいをしてるよ。だから、みんな、何ていうの、親戚みたい。うん。心許せる。だから、やっぱり兄弟よりもね、心許せる。「寒くなったでしょう」ってね、セーター編んで送ってよこしたりね、するよ。だから、また会えるの楽しみ、いっつも、また会えるの楽しみだよ、元気でないと会えないよってね、励まし合ってね、別れてくんだよ。ね、元気でないと会えないしょう。 もう私より三つかな四つ上だから、知らないことを電話にかけて、「ねえ、どうだったの」ったら、教えてくれるし、郵便局へ勤めてたっちゅうから、あれ、何でも知ってるしょ、四つ違ったら、大分知ってるよねえ。そして、そのお兄さんが、お寺の、ほら、住職さんになるので、だから、墓参なんかも、お寺さん頼まなくても、あの人、拝んでた。そして、学校の先生もやってくれたんだ、教えてくれたね。 この島はあれだ、いい島だよ。だって、体さえ動いて働けば、あんた、何、貧乏人いないもん、ここに。だから、この島返ったら、すごい観光地なるなという。(周囲にも)言ってる。 2島返還になったら、もう、あんた、根室のあすこにおっきい波止場がやるので、海深くするのに、そんな話まで出てるよ。ねえ。そうしないと根室、沈没するよ、この不景気時どうするの。 ※「証言」の中には、現在では適切ではないとされる表現が含まれている場合がありますが、修正などはせずにそのままにしてあります。