小学生に「聞く耳」を持ってもらう話し方とは? 楽天イーグルスアカデミーの聖澤諒さんの工夫
まずは挨拶、声を出そう
練習前には全員整列して大きな声で挨拶を行っています。「まずは挨拶から」「大きな声を出すことが大事」なんて話すと精神論に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。 なぜかと言うと「野球は声を出すスポーツ」ということを意識させる必要があるからです。試合でフライを捕るときが分かりやすいと思いますが、大きな声で誰が捕るのかを指示を出す、自分で捕るなら大きな声を出してアピールすることが大事になります。 「大きな声」は野球のプレーに必要なことですし、ぶつかって怪我をすることの回避、自分の体を守ることにもつながります。 ですが、ランニングやウォームアップで「イチ、ニー、サーン」と大きな声を出すことを恥ずかしがる子がとても多いのです。大きな声を出そうと思えば出せるけど、そのことと野球が上手くなることのつながりがまだ理解できてない。 どうしてもボールやバットを使った練習をやりたがり、「声」を疎かにしてしまいがちになります。練習で大声を出さなくても試合で出せるのであればいいのですが、そういう子は今まで見たことがありません。練習で大声が出せない子は試合でも出せないのです。 「練習のときから大きな声を出すことも練習の一つ」「まずは挨拶から大きな声で言えるようになろう」と根気強く言い続けていますが、ただ何度も言うよりも、子ども達の心に届くタイミングを逃さずに言うことが大切です。 ノックをしているとき、野手の間に上がったボールをお見合いして落としてしまったり、声は出しているけど相手が気付かずにボールを投げてもらえなかったり。そういうときは絶好のチャンスです。プレーを止めてすかさずこう話します。 「相手に聞こえなかったら声を出しているうちに入らないよね?」 「こういうときに大きな声が出ないから、練習前の挨拶やアップのときから大きな声を出す練習をしているんだよ」 こういうプレーが実際にあったときに話すことで、子ども達も聞く耳を持ってくれますし、納得してくれるようになります。逆に言えば、子ども達が聞く耳を持ってくれるタイミングがくるまで、聞く体勢ができるまで教える側は何度も言い続ける必要があるということかもしれません。小学生を指導するのは本当に根気が必要です。