ホンダ「CL500」の魅力を解説! 大型二輪免許は必要だけど、“ちょうどよさ”は抜群
自然体で付き合える、まとまりのいいモデル
僕が初めてオートバイに乗って感動したのは、自分の身体能力を補完・拡張してくれる運動性能。それだけに高性能スポーツモデルに惹かれ続けてきたが、年齢なのか環境なのか、求めるものの優先順位が変わってきた。 【写真はこちら】「CL500」の全体・各部・走行シーン(17枚) 走ることそのものよりも、季節や場所によって千変万化する温度、湿度、匂いといった「空気」を感じるだけで楽しいのだ。だから最近気になるのは、気軽にフワッと乗り出せて無心で走り続けられるオートバイ。CL500はまさにそうした一台だ。 フワッと乗り出せる、という点ではCL250も同じ。しかし発進加速や急勾配の峠道ではパワーによる余裕に歴然とした差があるし、単気筒エンジンの振動は長時間ライディングでジワジワと疲労を蓄積させる。「まだ目にしたことのない景色を眺めながら、行ったことがない遠くまで」という使い方なら、2気筒471ccのエンジンが間違いなく有利。本音を言うと排気量を上げて70PSくらいになれば文句なしだが…。 動力性能はさておき、CLの魅力は扱いやすい車体にある。大きめのギャップ超えでも車体が弾かれにくい19インチのフロントタイヤとストローク量に余裕のある前後サスペンションで、ベースとなっているレブルとは段違いに乗り心地がいい。 着座位置の自由度が高いシート、自然な位置にあるステップとハンドルが生むライディングポジションも身長176cmの僕にちょうどいい。フラットなシート形状で乗り降りしやすいこと、バッグが積みやすいこと、充分なハンドル切れ角によるUターンのしやすさも大きな利点だ。 ホンダ車らしくバランスの取れたまとまりだが、車検があって大型二輪免許も必要だけに万人受けは難しく、ヒットモデルにはなりにくい。だが見栄を張らず、無理をせず、自然体でバイクと付き合いたいライダーほど、CL500の良さを実感するに違いない。
太田安治