国民党員の退役少将、中国国歌斉唱時に起立=報道 香港での集会で 政府「把握」/台湾
(台北中央社)台湾の週刊誌、鏡週刊は3日、国軍の退役少将で、過去に野党・国民党内の退役軍人組織トップを務めた臧幼俠(ぞうようきょう)氏が、8月に中国共産党の関連組織が香港で開いた集会に参加し、中華人民共和国の国歌が流れた際に起立したと報道した。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は5日、臧氏の行動についてすでに把握しており、容認できない行為だと述べた。 臧氏は2020年から21年にかけ、国民党の「黄復興党部」(今年3月の党則改正で党組織発展委員会退役軍人部に再編)で主任委員を務めていた。同報道によれば臧氏は、中国共産党の影響下にある中国和平統一促進会が8月20日に香港で開いた「世界華僑華人促進中国和平統一大会」に出席し、中国の国歌が流れた際には起立して静聴した。 5日の行政院院会(閣議)後の記者会見で説明に立った行政院(内閣)の謝子涵代理報道官によれば、卓氏はこの件について行政院として把握しているとした上で、心を痛めたと発言。国防部(国防省)が臧氏の行為はすでに「台湾地区・大陸地区人民関係条例」(通称・両岸人民関係条例)に違反しており、国家の尊厳を損なっていることを認めていると話した。 卓氏はまた、人と違う考えを表現することは可能だが、国家政策に影響を与えるような行為をしてはいけないと言及。臧氏が中国の国歌を起立して静聴したことは、国民や世界からの印象に非常に大きなマイナスの影響があるとした上で、国防部が速やかに真相を究明し、適切な処置を行わなければならないと述べた。 両岸人民関係条例は、過去に国防や外交、対中政策、国家安全関連機関で政務副首長や少将以上の役職に就いたことがある者などが、大陸地区(中国)の政党や軍、行政機関、政治団体などが主催する式典や活動に参加したり、大陸地区の国歌を歌うなどして国家の尊厳を損なったりするのを禁止している。 国防部は4日、報道資料を発表し、調査を開始するとしている。 国民党文化伝播委員会の李彦秀主任委員は3日、報道陣の取材に対し、臧氏は何年も前に同党の要職を離れていると強調。集会への参加は私的なものだったとし、党として今後行われる調査手続きを尊重すると語った。 (游凱翔、頼于榛/編集:田中宏樹)