Q 保育園で5歳児クラスを受け持っています。お茶を飲む、ごちそうさまをする、1列に並ぶ、トイレに行くなど、何事においても「1番にやりたいし、なりたい」と言って、1番にこだわる男の子がいます。順番を気にするあまり、しなければいけないことが適当になってしまうこともあります。いつも1番にならなくてもいいことを伝えるには、どのような対応や声掛けが望ましいでしょうか？ A トイレに行くときも1番だなんて、彼はよほど1番が好きなようですね。クラスの中にそんな子供がいれば、担任はその行動が目につき、つい否定的な目で見てしまうことがあります。現状を改めさせたいと思うのならば、あなたも彼のことを否定的に見ている気がします。 保育士時代、私のクラスにもいました。でも、たとえば並ぶときに人を押しのけてまで先頭に来る子供には注意をしましたが、そうでない限り何も言いませんでした。指示をよく聞く、スピーディーに動く、考えて動くなど、彼なりの努力があって1番になっていることもあったからです。 あなたも彼のことを肯定的な目で見てはいかがでしょう。すると、たとえば「集まれ～」と言っただけでさっと来てくれたり、食事やお帰りの準備なども1番に完了したりする彼の行動が頼もしく見え、あなたの口からほめ言葉が出るようになるかもしれません。おそらく強い彼の承認欲求もそれで満たされ、彼のあなたへの見方や思いが変わってくるはずです。 彼との信頼関係が作れた頃、いつも1番にならなくてもいいこと、2番や3番であってもすばらしいことなどあなたの思いを伝えてみてください。人は誰でも自分を否定する人の言うことは聞かないものですが、認めてくれる人の言うことはよく聞くものです。（こどもコンサルタント） プロフィル 原坂一郎（はらさか・いちろう）　23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演活動を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士でもある。