「女脳」「男脳」はなぜ間違っているのか…女性と男性の「性差」についての意外な事実
言語能力はわずかに女性が有利、だけど。
空間認知とともに性差があると考えられているのが言語能力です。言語能力と一口にいっても、言葉の意味を知っているか、どれだけ流暢に発話できるか、コミュニケーション能力が高いか、など非常に幅広いものを含みます。 ごく最近のメタ分析によると、非常にわずかですが、女性のほうが男性よりも言語能力に優れていることが示されています。この分析では大規模なデータを用いて言葉の流暢性と言葉の記憶力が調べられています(※4)。 言葉の流暢性とは、ある制限時間内に、多くの単語・言葉を思いつく能力のことです。言葉の流暢性にも、音韻の流暢性と意味の流暢性があり、前者はたとえば、最初に「あ」がつく言葉をできるだけ多く答えるという課題で、あめ、あり、あさ、などと回答します。意味の流暢性は、制限時間内に多くの単語を思いつく能力のことです。たとえば、1分間でできるだけ多くの動物の名前を言っていく、などの課題があります。 分析の結果、音韻の流暢性は女性の成績が良く、意味の流暢性では性差がないことが示されています。ただ、音韻の流暢性の性差もごく小さなものです。 言葉の記憶力については、読んで字のごとく、覚えた言葉を思い出したり、見たことがあると判断したりする能力です。こちらについても、小さいながら、女性の成績が良いという結果が示されています。 音韻の流暢性は日常における発話に、言葉の記憶力は読み書きと関連するので、会話や国語などの成績と関連する可能性があります。しかし、先にも触れたとおり性差は小さなものであり、我々が考えるほどの性差はないと言えるでしょう。 他にも女性が得意だと考えられがちなものとして、コミュニケーション能力が挙げられます。コミュニケーション能力については、なかなか研究として扱うのは難しいのですが、付加疑問文(~だよね?)のようないくつかの発話が若干女性のほうが多いということが示されています。