「どう生き抜いたか知りたい」戦地・ウクライナ医師の心に“希望”を与えた、ヒロシマの復興力
私たちはできるだけたくさんの人を救わなければいけないー。 被爆地・ヒロシマを訪れた、ウクライナの医師たち。原爆の惨状を見つめ、被爆者の声を聞いた彼らの心に芽生えたのは、“生き残った人々”がその後の人生を生き続ける「希望」だった。 【動画】ウクライナ医師がヒロシマへ
海外観光客が増加する“ヒロシマ”
今、広島を訪れる観光客に“ある変化”が起きている。以前にも増して目立つのが、海外からの観光客。『平和記念資料館』の来館者は、なんと3分の1が外国人だ。
オランダから来た観光客は「原爆が落とされた場所を見て強い衝撃を受けました」と話し、ドイツから来た観光客は「人生に一度は来るべき場所だと思います」と広島への思いを語った。 なかには、「ロシア出身です。戦争が始まってからずっと反対していましたが、その気持ちがここに来てより強くなりました」と反戦への思いを強めるロシア人観光客もあった。
日本で学ぶ二人のウクライナ医師
愛知県名古屋市にある『藤田医科大学 ばんたね病院』の手術室。行われていたのは、「くも膜下出血」を未然に防ぐ手術。この技術を学ぶため、同病院は世界各国の医師が訪れていた。
「縦ではなくて、横ですか?」と、熱心に質問をする留学中の脳外科医がいた。ウクライナから来た、ダニーロさんとキリロさんだ。二人はウクライナの医療を発展させるため、今年7月末から1か月の間、日本に滞在。ウクライナから脱出する医者も多いなか、戦時下の母国に戻る約束のもと、留学を許されたという。
大切な家族を母国に残し、日本に来た2人の医師。キリロさんは、「手術に使える技術や、同僚に伝えられる知識を持ち帰りたいと思っています」と留学への思いを話す。
ダニーロさんとキリロさんの受け入れを提案したのは、脳神経外科の加藤庸子教授。二人から“強い熱意”を感じたという加藤教授は、「戦況のなかにいて、殺伐としているというところは思ったより感じられない。笑顔もあるし」と二人の印象について明かした。
ダニーロさんが日本に来て驚いたことは、食べ物や建物の大きさ。「ウクライナのサンドイッチのほうが大きいよ」と話すダニーロさんに対して、「いやいや、変わらないよ」と笑顔で返すキリロさん。ダニーロさんにとって、日本の食べ物や建物など、すべてがコンパクトに感じるそう。 加藤教授が語ったように、二人の間には和やかな空気が漂っていた。