「どう生き抜いたか知りたい」戦地・ウクライナ医師の心に“希望”を与えた、ヒロシマの復興力
訪れた人々へ自身の被爆体験を語る河野さん。戦後、3人の子供を育て上げ、70歳を過ぎてから語り部をはじめたという。平和を伝える一方、世界では今も戦闘が絶えない。
河野さんの体験を、真剣な表情で聴くダニーロさんとキリロさん。話を聴き終えたダニーロさんは、河野さんにウクライナの“あることわざ”を伝えた。「私たちの国にはこんなことわざがあります。『善が悪を制すためには力が必要だ』。善い力、優れた武器、悪を倒すためにはそれが必要だと」。 その“ことわざ”について、河野さんは「“善い力”ってあるんですかね」と答え、“武力に『正義』はあるのか…”と自らの経験から疑問を投げかけた。
「こうしてお話させてもらうために、生きさせてもらったんだと思います」と、広島に訪れたダニーロさんとキリロさんに御礼を述べた河野さん。二人は河野さんと笑顔で挨拶を交わし、『平和記念公園』へと再び向かった。
原爆の惨状を見つめ、被爆者の声を聞いた2人。ヒロシマに来て芽生えたのは、“希望”だという。 「彼女が背負ってきた記憶、魂と一緒に生き続けている姿に心を打たれました。とても強い人だと思いました」と、河野さんの人生に感銘を受けたダニーロさん。そして、キリロさんは、「私たちはできるだけたくさんの人を救わなければいけない。ウクライナでも、生き残った人は、その後の人生を生きていくからです」と、医師としての使命と“ウクライナの未来”について力強く語った。
ウクライナの医療を発展させるため、日本に来たダニーロさんとキリロさん。2人は来週、留学を終え、戦闘が続くウクライナへ戻っていく。