EV失速で脚光! 「世界PHEV大戦争」が始まった!
EV販売の失速により、世界中の自動車メーカーが戦略を修正している中、今、大きな注目を集めているのが、プラグインハイブリッド車である。なぜ世界が沸いているの? ハイブリッド車と何が違う? というわけで最前線を取材! 【写真】海外メーカーと日本勢・注目のPHEV ■中国BYDがブチカマした価格破壊 市場の成長鈍化にもがき苦しむEVを尻目に躍進を遂げているのが、"脱炭素の現実解"と呼ばれるPHEV(プラグインハイブリッド自動車)。 ザックリ言うとPHEVとは充電可能なハイブリッド車で、近場ではEVとして活用でき、遠出はハイブリッド走行が楽しめる。電欠の心配もなく、環境性能にも優れている。ただし、普段使いをほぼEVモードで賄えるため、ガソリンの劣化が玉にきず。 この現実的な使い勝手の良さが消費者に刺さり始め、昨年のPHEVの世界販売台数は約392万台(前年比46%増)を記録。だが、PHEVが脚光を浴びている最大の理由は昨年の中国最大手のBYDの販売台数にある。 過去最高の302万台を記録したのだが、その半分弱の143万台(前年比52%増)がPHEVだったのだ。ちなみにBYDは2008年に世界初の量産PHEVを開発した先駆者でもある。 BYDはPHEVに本腰を入れており、5月4日まで中国・北京で開催された北京モーターショー2024で2台のPHEVを披露。実はそのうちの1台(秦〈Qin〉PLUS DM-i)が世界に衝撃を与えた。 なんと価格が約160万円(7万9800元)だったからだ。日本市場だと軽の価格で、この投げ売りのようなぶっ飛びプライスに、メディアやSNSには、「日本車キラー登場」とか 「中国市場から日本車が駆逐される」という声も。 ちなみにBYD自慢のPHEVは、昨年10月に開催されたJMS(ジャパンモビリティショー)2023にも出展されている。ガチ系SUVのボディに約1100馬力をブチ込んだ、まさに怪物PHEVだったが、そもそもBYDは日本ではEVしか扱っていない。週プレはJMSの現場で、なぜ未導入のPHEVを披露したのかを聞いた。 「BYDにどんな商品があるのかを日本の皆さまに知ってもらうためです」(BYD) 逆に言えば、日本市場の反応を見る、いわば観測気球のようなもの。BYDが日本市場に舌舐めずりしているのは確かだ。このBYDの二刀流殺法により追い込まれているのはほかでもない、EV最強王者の米テスラだ。