シニアドライバー新時代!高齢者の運転技術を診断する最新アプリ
今回のテーマは、「あなたの運転 見守ります~シニアドライバー新時代~」。 高齢ドライバーによる事故が後を絶たない。死亡事故は2年連続で増加。大きな社会問題になっている。そんな中、自治体や自動車メーカー、ベンチャー企業がタッグを組み、高齢ドライバーが安全に運転できるよう、新たな技術開発に取り組んでいる。高齢ドライバーたちのドキュメントとともに、ニッポンの車社会の未来像を模索する。 【動画】シニアドライバー新時代!高齢者の運転技術を診断する最新アプリ
高齢者の運転を事故鑑定のプロがチェック!
2009年に創業した「ジェネクスト」は、保険会社などから依頼を受けて交通事故を鑑定する会社。これまで500件以上を調査してきた社長の笠原一さんは、交通事故を減らすために、事故鑑定で使う機械を開発。「映像に映っているものを分析・解析することで証明していく」と話す。
これは事故車に取り付けられていたドライブレコーダーの映像。広範囲を記録するため、映像にゆがみが生じ、事故発生時の正確な情報を把握することができない。
ジェネクストが開発した機械は、レコーダーに残されていた映像を1ミリ四方の方眼紙に重ね合わせることで映像のゆがみを補正。当時のスピードや事故の状況を正確に知ることができる。こうした分析で実績を積んできた笠原さんの原点は、12年前に父・敏一さん(当時66)が起こした交通事故にあった。
当時のドライブレコーダーが捉えた映像を見ると、タクシー運転手だった父・敏一さんが道路を右折して建物の駐車場に入ろうとした時、左からやって来た車と衝突している。道路は横断可能な場所だったが、敏一さんには「安全運転義務違反」という処分が。 事故直後の過失の割合は9対1だったが、その結果に息子の笠原さんは疑問を持ち、ドライブレコーダーの映像や現地の情報を独自に調べ上げた。すると、相手の車が100キロ以上のスピードを出していたことが分かり、過失割合も真逆の2対8に。加害者から被害者へと立場が逆転したのだ。 「証明によっては、その人の人生を変えてしまうことにもなりかねない」。笠原さんは、正確な交通事故鑑定の必要性を感じた。 事故の鑑定の他、事故が多発する場所を調査し、標識が見えにくいなどの情報も提供。笠原さんは、各地の自治体からさまざまな依頼を受けている。 2月。笠原さんは、高齢者の事故を減らすため、新たな取り組みに着手しようとしていた。高齢ドライバーの運転状況を記録するという実証実験だ。 向かったのは横浜市役所。横浜市でも高齢者による事故の割合が増えており、笠原さんとタッグを組むことになったのだ。