シニアドライバー新時代!高齢者の運転技術を診断する最新アプリ
1週間後、ジェネクストに集められた66歳から71歳までの7人のドライバーは、提携する保険会社の協力の下、公募によって選ばれた。 実験に使うのは、ジェネクストが開発したアプリ「アイ・コンタクト」。GPSで車の位置情報がジェネクストに転送され、走行したルート上でどんな運転をしているかを全て記録することができるシステムだ。運転中に起こしたスピード違反や踏切で一時停止しているかどうかなど、違反の種類ごとにカウント。それを運転技能の点数として割り出す仕組みだ。 「高齢者が特別に危険なのか。認知機能が低下して免許の返納をした方がいいという状態になれば危険だという認識もあるが、高齢者全てがそうかというとそうでもないだろう」。 笠原さんは「アイ・コンタクト」を使って、高齢ドライバーの実態を知りたいと考えていた。
2月中旬、約1カ月半に及ぶ実証実験が始まった。今回の参加者の中で最高齢の香田辰彦さん(71)は、若い頃からドライブが趣味で、運転にも自信があるという。長年保険会社に勤め、取引先へ向かう時など毎日運転。今も仕事を続けている。 運転する前に「アイ・コンタクト」のアプリを起動させ、スタートボタンを押すだけ。その後は香田さんの運転を全て自動で記録し、ジェネクストが交通違反の有無などを数値化してくれる。 香田さんの車を追うと、想定以上に良いスコアが出ていることが分かったが、この日の取材中、ヒヤリとする出来事が起きた。一時停止の標識がある十字路に差し掛かった時のこと、停止線でしっかり止まるも、子どもの姿に気づかずに進んでしまったのだ。香田さんの車の車載カメラを見てみると、子どもがいるにも関わらず加速していた。 この映像を見た香田さんは、「ちょっとうっかりだったね。自分が一番よく分かるんです、やばいなって。ヒヤリとする回数が増えれば(運転を)やめる」と話す。
宇佐美利美さん(66)は、息子・マキさんの勧めで参加。長年、旅行代理店や保険会社で勤めてきた宇佐美さんは、共働きの息子夫婦に代わって保育園に通う孫の送り迎えをしているが、それだけに自分の運転に責任を感じていた。 実験中の決まり事は、車に乗る時にアプリをオンにするだけ。宇佐美さんが苦手とするのは駐車。1年ほど前、コンビニの駐車場で隣のトラックにぶつけてしまったという。いつまで運転できるのか…周りの人にも相談していた。 3月下旬。実験開始から約1カ月半が経過し、結果発表の日。視力の低下が気になっている香田さんと家族のためにも運転を続けたい宇佐美さん…そんな2人に、意外な診断が出る。