大阪ガスの時価総額が東京ガスを20年超ぶりに逆転、株価を押し上げた「2つの原動力」
● シェールガス会社買収で 無形固定資産が増加した東京ガス まずは、東京ガスから見ていこう。以下の図は、同社の決算書を比例縮尺図に図解したものだ。 貸借対照表(B/S)から見ていく。B/Sの左側(資産サイド)で最大となっているのが、有形固定資産(約1兆4460億円)だ。東京ガスは都市ガスの供給や製造に関わる設備を保有しているため、有形固定資産の占める金額が大きい。 次いで大きいのが、流動資産(約1兆3040億円)である。ここには、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産、約4540億円)や現預金(約3640億円)が含まれている。 なお、無形固定資産が約6820億円計上されているが、そのかなりの部分が鉱業権(約5260億円)で占められている。これは主に、23年12月にシェールガス(天然ガス)開発を手掛ける米ロッククリフ・エナジーを約27億ドル(東京ガス公表ベースで約4050億円)で買収したことによって計上されたものだ。海外のシェールガスに対する投資が無形固定資産を増加させた主な要因といえる。 B/Sの右側(負債・純資産サイド)に目を向けると、流動負債が約6700億円、固定負債が約1兆4860億円計上されており、有利子負債(社債、借入金)が流動負債に約740億円、固定負債に約1兆2700億円含まれている。大規模投資に必要とされる資金を有利子負債で調達している状況がうかがえる。 純資産は約1兆7330億円で、自己資本比率(=純資産÷総資本)は約45%だ。 続いて損益計算書(P/L)を見てみると、売上高が約2兆6650億円であるのに対し、売上原価は約2兆1890億円(原価率は約82%)、販管費は約2550億円(販管費率は約10%)となっている。ここから営業外収益・費用、特別利益・損失、法人税等を加味した当期純利益は約1700億円で、売上高当期純利益率(=当期純利益÷売上高)は約6%だ。 ここで、今回取り上げる株主還元指標であるDOE(純資産配当率、株主資本配当率とも呼ばれる)についても見ていこう。DOEは、配当総額を純資産で割ることで算出できる。東京ガスの配当総額は約280億円であることから、DOEは約1.6%だとわかる。