都政改革本部の上山信一特別顧問会見(全文1)このままでは3兆円超のリスク
東京都の小池百合子知事が立ち上げた都政改革本部で特別顧問を務める上山信一慶応大学教授が2日、東京の外国特派員協会で記者会見を行った。 【中継録画】都政改革本部の上山信一特別顧問が外国特派員協会で会見 上山氏は、大阪府と大阪市で橋下徹氏がそれぞれ知事・市長として進めた「橋下改革」のブレーンでもあった。
オリンピック予算見直しの経緯
上山(通訳):本日、お話をいただく機会をいただき大変光栄に存じます。また、オリンピックの準備に向けて、今どういった見直しをしているのか、お話をするという点については小池都知事のほうからも了解を得ております。本日は時間の関係もあり、また精度を持ってお話しできますようにと考えており、日本語で発表のほうはさせていただきます。 上山:東京オリンピックなんですけれども、ご承知のとおりリオが終わり、いよいよ4年を切ったという状況で準備が本格化しております。同時に知事選挙がちょうど夏にありまして、小池知事が就任をされ、選挙の期間中からオリンピックの予算については見直しが必要だということで就任後すぐにオリンピック・パラリンピックの予算に関する調査チームというのができました。 それで、予算を見直すために東京都庁の中に都政改革本部というセクションができまして、そこに外部の元コンサルタントであるとか弁護士、会計の専門家などが入って、いろいろな政策の見直しをやっています。オリンピック予算の見直しもその作業の1つです。今日私がお話をする内容はその中の、オリンピック予算調査チームが9月の29日とそれからきのうの2回、知事に報告をした調査報告書の内容に基づくものです。 この報告書の英語版はすでに都庁のホームページに載っています。9月29日の報告書は、Investigation reportという形でホームページに載っていまして、これはもうIOCにも送り、ちょうどきのうから3日間にわたって、IOC、それから政府、そして組織委員会、東京都の4者の協議が行われていますけれども、それのベースになるものということですでに共有化され、ホームページにも載っています。きのうの報告書については数日のうちにイングリッシュバージョンがまた出されていくという流れになっています。 それではお手元に配っている資料に基づいてお話をします。まず最初に先ほど選挙の途中からオリンピックの予算については見直しをするという議論があったというふうに申し上げましたけれども、選挙の途中に小池知事はオリンピックの費用が、過去、組織委員会の森会長・元総理大臣、あるいは前の知事の舛添さんによって2兆、あるいは3兆というふうな発言があったけれども、それについてきっちり調べたいということを選挙戦の中でもおっしゃっていたと。そこから端を発して今回の予算の見直しが始まっているということであります。図で言いますと2ページですね、資料の2ページを見てください。 それで、この2ページの図ですが、最初に書いてある7340億円というのは招致ファイル、管理データファイルのときに書かれた数字です。そのあと実際に作業を始めて、本当に必要な金額はいくらかということで計算をし始めると、最大3兆円になってしまうかもしれないという予測を舛添知事が一度やり、そして今回、私たちのチームで調査をした結果も、やはりもしかすると3兆円を超えるかもしれないと。こういう結果になったということであります。 オリンピックについては前のページ、1ページに書いていますけれども、リオで、リオのゲームが終わってそのあとパレードを銀座でやりました。参加者は前回を6割も上回るぐらいの盛り上がりを見せています。なので、人々のオリンピックに対する期待というのは非常に高いものがあると思います。しかし同時に、世論調査やいろいろな議論を見ていますと、コストに対する問題意識というのも同時に非常に高いと。 図で言いますと3ページですが、これは9月の時点での、JNNがやった世論調査ですけれども、85%の人たちが小池さんがやっているコストの見直しというのは必要だというふうにサポートしています。そしてさらに次の4ページですけれども、これも10月に入ってからの調査ですけれども、やはり場合によってはオリンピックの競技会場、場所を変えるというふうなかなり大きな変更も賛成するかという問いに対しては、この色を塗った赤いところですけども、6割から8割の人たちがそこまでやってもいいのではないかというふうにサポートしています。 それで、右にもボートの会場が書いてありますけれども、もともとの案の海の森をサポートする人は10月の半ば時点では少なくて、場所が変えられるんだったらほかでもいいんじゃないかと考える人が多いというふうに、オリンピックに期待感は高まっているけれども同時に見直しも必要じゃないかというふうに日本人の多くは考えていると、こういう状況であります。