都政改革本部の上山信一特別顧問会見(全文1)このままでは3兆円超のリスク
施設の見直しの概要と今の時点の議論の報告
コストの話に戻りますが、先ほどの図の左の4つの箱は、建物、施設の見直しの議論でした。で、日本国内ではこの東京都の施設の見直しのこの4つ目の箱の2241億円。ここの3つの施設の見直しが非常に日本の国内では話題になっております。それについては、細かい話は今日は省略しますが、概要を今の時点、29日のレポートじゃなくて、今の時点どうなっているかを今からお話をします。 8ページを見ていただくと分かりやすいと。Please go to page 8. で、3つの施設ですが、1つはボート、カヌーの会場です。これは海の森というふうに日本語では言ってますけれども、東京湾のかなり端のほうですけれども、そこに水路があります。島と、人工で埋められた島と、それから東京の端の部分ですけれども、そこの間の幅の水路がちょうどボート、カヌーをやるのにいい幅だということで、招致ファイルの段階から、そこにボート・カヌーコースをつくるというプランになっています。 ただ、ここ波があります。で、風も強く、羽田の飛行機の騒音も強いということで、実際にコースをつくるとなると、波をせき止めるためのゲート、これを造るのにかなりのお金が掛かります。さらにそのほか、波を消すための装置であるとか、いろいろな投資がかさみまして、最近の額だとだいたい300億円というところまで下がっていますが、一時は1000億円を超えるというふうなプランになっていました。当初は100億円以下でつくるということが招致ファイルには書かれていたので、価格の変動があまりにも大きいということで、以前から問題視されていた施設であります。 It’s also Haneda airport. Narita plus Haneda airport. Okay. それで、この海の森については、今回私たちのチームは宮城県の長沼ボート場というところが可能性があるのではないかということで宮城県に打診をし、そして県のほうも調べてみたいということで、積極的な返事をいただいて、実際にオリンピックをやるとなると何が必要かというふうな調査を始めているところであります。 2番目がアクアティクスセンター、プールです。これについては9月の時点で私たちは座席の数が多すぎると。2万席も要るのかという問題提起をしました。その後の調査で国際競技連盟も、国内の競技連盟もそんな数は要らないということで、現時点では1万5000席にサイズを下げるということになっています。 3つ目の有明アリーナですけれども、これもバレーボールの会場ということで用意されていますけれども、オリンピックの期間中はいいけれども、そのあとスポーツの会場、あるいはコンサートの会場として実際にどれぐらい稼働するのかというのをわれわれのチームで見たところ、なかなか厳しいという結果になりました。そこでもし可能ならば横浜アリーナに移す可能性がないのかということで、現在調査中であります。 このアリーナの問題は実は結構難しくて、体育館ですから、安い値段で誰でも使えるということであれば使う人はいっぱいおられます。ですから地域の体育館というふうに考えれば常に利用者はいる。だから問題がないということになります。しかし400億円ものお金を掛ければ地域の普通の体育館が複数つくれるということ、あるいは本当にその場所がベストなのかということを考えると、地域の体育館にあとで使えるからオリンピック級の体育館をあそこにつくるというわけにはなかなかいかない。レガシーの質の問題ということで、ここに関しては見直しが進んでいます。 以上が施設に関しての話です。コストを下げるということきにさっきお話ししたように、ソフトなコストの部分、輸送だとかセキュリティー、その他大会運営にまつわるいろいろなコスト、ここが非常に大きいわけです。これについてわれわれが危機意識を持っている理由は2つあります。1つは組織委員会の予算はだいたい5000億円ほどです。さらにIOCが1000億円強の予算を出しますけれども、もし仮に3兆円も必要になりますと残りの部分のかなりを政府と東京都が出さなくてはいけないと。 特に東京都は招致ファイル、Host City Contractで組織委員会が赤字になったら、その分は全て払うというサインをしていますので、トータルの予算がどんどん増えていきますと自分がコントロールできない部分で、最後赤字だけ負担すると、こういう構造になっているという問題が1つあります。それからもう1つは全体の予算を管理する機能が不十分であると。全体のガバナンスの問題があります。これについてはあとでまた話します。