都政改革本部の上山信一特別顧問会見(全文1)このままでは3兆円超のリスク
主に3種類のレガシーについて
現在のプランで書かれているレガシーは大きく3種類に分かれますけれども、1つはオリンピックの感動体験とか、メダルを取った、新記録が出たというふうな大会から出てくる直接的なレガシー。もう1つはオリンピックの準備の過程で造られた施設がそのあとも使われるかどうか。あるいは交通とかインフラがオリンピックのために整備され、そのあとまちができていくといったようなまちづくり、施設関係のレガシー、これが2つ目にあります。3つ目はオリンピックを契機に社会の在り方が変わると。そういったレガシーがデザインできているかということについて今回チェックをしました。 レガシーについての評価をしたんですが、最初の1番はもちろん問題がありません。2番目の狭義のレガシー、これについてもいろいろな投資がされていますし、大きな問題はない。そもそも1964年の東京オリンピックの経験というのは、まさにこのレガシーが非常に大きかったということで、社会全体にも、人々の間でもこの狭義の、2番目のレガシーについてはイメージがあり、かつ実際に結構できそうだという気がしています。 しかし問題は3番目の広義のレガシーのところです。これについてはIOCもレガシーは非常に重要だということで、いろいろなガイダンスを出しています。もちろん東京都や政府もレガシーのプランを作っているわけですけども、まずわれわれが驚いたのは、組織委員会が作っているレガシープランというものと、東京都が作っているレガシープランという書類と、2種類の別々のものがあると。しかもこの2つの関係が、重なり、かつずれていると。一本化されたレガシープランが描けていないし、かつ中に書いてあることもいわゆる非常に行政的な、あまり躍動感のない言葉が続いていると。 つまり広義のレガシーというものがまだ具体的なイメージを持って、オリンピック全体を見て具体的なイメージを持って描けてないというところに気が付きました。 小池知事は選挙のときからスマートシティ、それからダイバーシティ、セーフシティっていう3つのキーワードを東京の将来を目指す方向だという形で打ち出しています。で、オリンピックっていうのはまさにこのビジョンを実現していく上で非常に重要なイベントだと思うわけですけども、今後の方向ということで、会議で議論したのはまさにこの3つのコンセプトを具体的なこのレガシーのつくり替えというところにどうやって反映していくのかというのが今、東京都が今後やっていく1つの課題だというふうに思われます。 小池知事がもう1つ、オリンピックの在り方について今回問題提起をしたのはコストが1つですが、2番目がレガシーでした。で、もう1つ重要な問題提起としてされたのは、復興五輪という考え方です。で、これは2011年の震災の被災地ですね。東北の被災地の復興した姿を世界に示す、あるいは震災のときに受けた支援に対する、世界に対するお礼の場ということでオリンピックを位置付けると。こういう概念であります。この復興五輪というキーコンセプトに基づいて、例えば宮城でサッカーの予選をする。あるいは、聖火リレーが東北に行くといったようなことはすでにある程度、行われていますが、それで果たして十分なのかという問題意識が小池知事においてはありました。