千葉・木更津にある複合施設「KURKKU FIELDS」で人と自然が共存する、サステナブルな体験を!
「未来を誰かに委ねるのではなく、持続していける社会を自らの手で選んでいく」
プロデューサーである小林武史さんの思いから生まれた「KURKKU FIELDS」。その前身は、小林さんが2010年に立ち上げた「耕す 木更津農場」だった。「次の世代も使い続けられる農地」を目指し、平飼いの養鶏や有機農業などを実践。太陽光発電をはじめ、飼育する動物のフンや生ごみを堆肥に活用するなど、環境に対してさまざまな取り組みを行ってきた。
その後も、パーマカルチャーデザイナーや、シェフなどあらゆるクリエイターと共にアップデートを重ね「KURKKU FIELDS」が誕生したのは2019年11月のこと。
ちなみにパーマカルチャーとは、パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語。「人と自然が共存する社会をつくるための手法であり、持続可能な社会のシステムをデザインしていく考え方です」。そう教えてくれたのは、フィールドの自然管理などを行う吉田和哉さん。森の散策や農業体験など、ファーム内での体験ツアーでは、子どもたちから“ヨッシー”の愛称で親しまれる人気者だ。
「KURKKU FIELDS」で楽しく学ぶ、循環の仕組み
「敷地の自然循環の仕組みは、パーマカルチャーデザイナーの四井真治さんにデザインしていただき、『太陽』『土』『水』という3つの循環の仕組みを作り上げています」と吉田さん。その根底には、人間が自然環境に、そして地球にとってポジティブな存在でありたい、という考えがあるという。早速、吉田さんに敷地内を案内していただくことに。
「全ての始まりは、太陽光のエネルギーです」。敷地内には約8,700枚のソーラーパネルが備えられ、太陽熱と光の恩恵を取り入れている。サステナブルなエネルギーを礎にしながら「水」と「土」の驚くような循環が機能していた。
微生物や植物がつなぐ食と農業の循環
まずは「水の循環」。「KURKKU FIELDS」内のレストランやベーカリーなど飲食店から出る下水は、敷地外に流すのではない。地下に設置された浄水層を通った後、バイオジオフィルターと呼ばれる水路で濾過(ろか)される。 きれいになった水は、ビオトープと呼ばれる小川や池などに集まる。「ビオトープでは、クレソンやマコモダケといった植物が、下水などの栄養分を吸収することで、さらに水が浄化され、魚が住めるくらいの水質に。ここにはメダカやドジョウ、アメンボやカエルなどが生息し、豊かな生態系が築かれているんですよ」と吉田さんはうれしそう。 水辺が生きものたちのすみかになり、プランクトン、虫、魚、鳥へと生態系はどんどん豊かに広がっていくのだ。