【引退試合】T-岡田が振り返る栄光と苦悩の19年 「どうやったら結果を残せるか、バッティングを考えることに疲れた」
「徐々に感じはよくなってきて、自分としては『もう少し一軍でチャンスがほしい』というなかでの二軍落ちでした。正直、『ここで抹消か......』というのはありました。でも、チームは勝てていなかったし、一番は開幕で使ってもらったのに結果を出せなかった自分の責任です」 開幕戦で1本出ていれば、また違う展開が待っていたのだろうか。 それでもファーム降格直後の中日戦で、岡田はライトへホームランを放っている。一昨年からほぼ岡田を見るためだけに加入した動画サイト『イージースポーツ』で見たが、打った瞬間にそれとわかる会心の一発だった。この時、そう遠くない時期の一軍復帰がイメージできたが、実際にはそうならなかった。 【感じは悪くないのに結果がついてこない】 その後も定期的に岡田を観戦し続けたが、快打は続かず、数字も上がらない。もちろん、いい感じでとらえた打球もあったが、ファーム本拠地の杉本商事バファローズスタジアム舞洲特有の「アゲンストの風に戻され......」(T-岡田)と、最後まで乗り切れなかった。 「ファームに来てからしばらくの間、感じは悪くなかったんです。でも、『よし!』と思った打球がアウトになったり、感じは悪くないのに結果がついてこなかったり......。そのうち段々と状態が落ちていった。そんな感じでしたね」 最後に岡田の打席を見たのが、8月13日のファームでの阪神戦。そこからパタリと出場が止まった。引退会見で、決断した時期について「夏場くらい」と語っているのを聞き、この阪神戦を思い出した。 この試合、「2番・DH」で出場した岡田は2打数ノーヒット。相手先発は、同じく今シーズン限りでの現役引退を表明した秋山拓巳。1打席目はしっかりとらえた感じのファーストライナーで、強く印象に残ったのは2打席目だった。甘いストレートをとらえ損ね、バットネットにファウルを放つと、岡田は声を発しながら厳しい表情で悔しさをあらわにした。完全なミスショットだったのだろう。結局、この打席はいい角度で打球が上がるもライトフライ。この打席のことを岡田に向けると、「2打席目はバットの先でした」と言った。