意外と知らないカーエアコンの仕組み 効率的に使いこなすコツとは
GSでよく言われる「ガスが減ってますね」とは
ガソリンスタンドなどで「エアコンのガスが減ってますね。補充しますか?」などと聞かれることがあると思うが、あれはガスが漏れているということだ。これまで書いたようにエアコンはエバポレータ、コンプレッサ、コンデンサのメインパーツをアルミの管やゴムのホースでつなぐ構造になっているため、クルマのように常時振動が加わっている状態だとだんだん締結部にガタが生じてたり部品に亀裂が入ったりしてガス漏れにつながるのだ。 もちろん大気圧の15倍もの圧力がかかっているので、どんなに上手に取りつけても完全な密閉状態にはならない。しかし正常な状態であれば1年や2年で漏れるものでもない。もし前回のガス補充からそれほど時間が経たずにガスが抜けてしまうなら、エアコンの修理が必要だ。ガスを入れて誤魔化していても根本的解決にはならないし、最悪コンプレッサが焼き付いてしまうケースもあり得る。とにかくエアコンにとってガスが密閉されていることはとても重要なのだ。
エンジンのパワーロスが少ないエアコンの使い方
昔のカーエアコンは、スイッチが入っている間、コンプレッサが回りっぱなしだった。ではどうやって冷房温度のコントロールをしていたかと言えば、加熱した熱い空気(つまりヒーターを通った空気)を適度に混ぜてエバポレータに送りこんで温度を調整していたのだ。熱いお風呂に差し水をするのと同じやり方だ。エアコンのスイッチを切ると温風が吹き出した昔を思い出す人もいるだろう。あれはそういう理屈だったのだ。 この方法だと、わざわざエンジンの力でコンプレッサを回して冷たくしたものをヒーターで温度調整するのでエネルギーが無駄になる。お風呂で言えば差し水などせずに最初から適温に沸かせばよい。そこで開発されたのが可変容量コンプレッサだ。このコンプレッサは圧縮能力を変えることができるので、全力で圧縮する必要が無い時は能力を落としてフロンガスの温度を適温に調整する。無駄な冷却を無くすことでエンジンのパワーロスが減るのだ。設計の新しいクルマではコンプレッサはモーター駆動になっている。当然これも必要なだけ駆動する仕組みになっているのでロスが少ない。 さて、普段エアコンを使っている時「寒いな」と感じたらファンの風量で温度調整をしていないだろうか? オートエアコンの場合、それは無駄になるので止めた方が良い。前述の通りコンプレッサは必要な温度に応じて稼働量を決めているが、これができるのはオートモードの時だけだ。温度ダイヤルで調整せずにファンの風量で調整すると、コンプレッサは稼働量を調整してくれない。これでは昔のエアコンと同じことになってしまう。エアコンは温度設定で調整した方がコンプレッサの無駄働きが減って効率がよいのだ。