優秀な部下に「私ばかり仕事をして不公平」とキレられた上司は“MBO”を見直すべきかも
優秀な人材に高い目標を設定すると
しかし、日本でこれが人事制度に転用されていったことで、少し違う側面がでてきました。 それは、最初に立てた目標の「達成度」で評価をするということです。MBOを日々のマネジメントで行うだけでなく、評価制度にするならば、確かに目標を基準とした「達成度」で評価するのは自然なことだと思います。 ところが、これが問題を生み出す原因なのです。優秀な人材と平凡な人材がいたときに、皆さんだったらどういう目標設定をするでしょうか。 優秀な人材には高い目標を、平凡な人材にはそれなりの目標を設定する人が多いのではないでしょうか。しかしそうすると何が起こるでしょうか。
同じ等級なら同じ目標レベルでないと不公平
目標の「達成度」で評価をするのであれば、高い目標を設定された人でも、それなりの目標を設定された人でも目標を100%達成したのであれば、厳密に制度を適用すると同じ評価ということになります。 頑張って高い目標を達成したのに、それなりの人と評価が同じであれば不満を持つのは当然です。これがMBOを導入している企業でよく起こっていることです。 もし「達成度」で評価をするのなら、同じ等級(グレード、職級)の社員であれば同じレベルの目標を設定しなければ不公平です。 ところが、優秀な人に高い目標を設定するのもそれはそれで自然なので、多くの企業で不平等な目標設定がまかり通っているのです。
低い目標を求めたり、目標達成すれば力を抜いたりする
目標の「達成度」で評価することは他にもデメリットがあります。合理的に考えれば、達成が容易になり、高い評価を得やすくなるため、人々はできるだけ低い目標設定を握ろうとすることでしょう。 「うちの市場は大変なので」「このクライアントは難易度が高くて」と言い訳ばかりするかもしれません。また、目標達成が見えてきたら全力で走るのを止めるかもしれません。 例えば、営業であれば今期でなく次の期に売上を後ろ倒ししようとするかもしれません。そういうことをせずに、率先して高い目標を立て、目標を達成しても力を抜かない人は会社にとって有用で優秀な人材です。 それなのに制度的には優秀な人材が評価されない可能性があるなら、これまた不満が溜まってしまうのは当たり前ではないでしょうか。