優秀な部下に「私ばかり仕事をして不公平」とキレられた上司は“MBO”を見直すべきかも
組織と人事の専門家である“そわっち”が、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ「モヤモヤり~だぁ~ず」。
本日の相談者:WEB制作会社・37歳 「ウェブ制作会社でマネージャーをしています。優秀な若手のWEBディレクターが成果を出しているので、頑張ってるね!と励ましたら、『なんで私ばかりに仕事させるんですか!不公平です』と不満を漏らされました。 上司の私の仕事の割り振りが悪いとまで言われました。できる人材だと思っていたので驚きです」。
「人事制度」の問題かもしれません
私の本業は人事コンサルティングですが、さまざまなクライアント企業の様子を日々伺う中、今回のように「できる人材」が不満を抱いているというのは、実はまあまあよくあることです。 仕事の振り方や評価の仕方など理由はいろいろですが、いちばん多いのは「人事制度」(評価・報酬制度)が原因になっているものです。 一見すると「ふつう」で何も問題がなさそうな制度が、知らず知らずのうちに優秀な人材に不満を抱かせるというのは、経営者やマネージャーにとっては“捨ておけない問題”と思います。どういうことなのか、少しややこしいのですがご説明させてください。
日本のメジャーな人事制度「目標管理」
日本の企業の人事制度で最もメジャーなのは「目標管理制度」と呼ばれるものです。おそらく7~8割の企業が導入しています。著名な経営学者ドラッカーの"Management By Objectives and Self-Control"(目標によるマネジメントとセルフコントロール:以下、MBO)という思想からきています。 もともとは、「あれをやれ、これをやれ」と「行動」自体を細かく指示・管理するよりも、「これを達成しよう。やり方は考えてみて」と、「目標」を掲げて共有することで、働く人が自発的、自由になることを理想とする考え方です。 このように元来のMBOはマネジメント思想であり、制度そのものではありませんでした。