新垣結衣×早瀬憩 「誰かと食べるごはんはおいしい」――人と人は分かりあえない現実の中で、誰かと生きていくには
「あなたと私は別の人間だから。あなたの感情も、私の感情も自分だけのものだから。分かち合うことはできない」 【画像】新垣結衣×早瀬憩 「誰かと食べるごはんはおいしい」――人と人は分かりあえない現実の中で、誰かと生きていくには
「違国日記」の主人公・高代槙生は、15歳の少女・田汲朝に言い放つ。朝は一見冷たく感じる言葉に「そんなの嫌だ!」と目をうるませて反論するが、槙生の表情はかたくなだ。朝は両親を事故で失い、茫然自失する中で、叔母である槙生から「ずっとうちに帰ってきなさい」と言われ、同居生活を始めたばかり。
原作者である漫画家・ヤマシタトモコは、「現実的に人間は分かりあえないものであるし、それを大前提とした上で、『それでも』と超えていこうとすることが、物語においてすごく美しい」とインタビューで語る。このテーマが反映された本作では随所に「分かりあえなさ」が“温かく”描かれる。
映画「違国日記」で槙生を演じた新垣結衣、槙生と同居する女子高校生・朝役の早瀬憩に、本作に向き合うことで感じた「他者との付き合い方」について話を聞いた。
共感を覚えるも、苦戦した特徴的な言葉たち
本作は、人気作品の実写映画化であるため、新垣と早瀬は共に「どういった反応が返ってくるのか、やっぱり不安」「原作を徹底的に読みこみ、現場でもずっと読んでいた」と口にする。
新垣は、「あなたと私は別の人間だから」と断言する槙生のスタンスに「私自身も人との向き合い方として、それぞれ違う人間であるということを意識していたいと思っているし、それぞれの世界を大事にしたいタイプなので、共感する部分は多い」とうなずく。そんな中で、苦労したのは「言い方」だという。
新垣結衣(以下、新垣):「違国日記」ならではの言葉選びがとても好きで原作の魅力の1つだと思うんですけど、生身の人間の口から発したときにどう聞こえるかというのが難しい点だなと当初感じていました。いちファンとしてはその魅力を映画にも活かしたいと思いましたし、監督と相談しながら試行錯誤しましたね。最終的には、本番前に原作の槙生ちゃんの表情を頭でイメージしながら演じることでスッとセリフを言えた気がします。