新垣結衣×早瀬憩 「誰かと食べるごはんはおいしい」――人と人は分かりあえない現実の中で、誰かと生きていくには
早瀬:餃子をみんなで包む「包団(パオダン)」結成のシーンは本当に楽しかったです。みんなで作って食べるとこんなにおいしいんだって。
新垣:あのシーンは「自由にしてください」とだけオーダーがあったので、みんなで盛り上がりました。
誰かと食べるごはんは本当においしいですよね。手の込んだ料理ではなくても、素朴なものでも全然味が違ってくる。もちろん1人で食べても美味しいですし、人によって毎日のその時間をどう過ごしたいかはそれぞれですが、私の実感としては「誰かと食べるごはん」は、自分にとってすごく満たされる時間です。
早瀬:私には、まだ生活とか暮らしとかって、ちょっと遠いんですけど……。実は、結衣さんの、「憩ちゃんの作った卵焼きを食べてみたい」という言葉がきっかけで、最近初めて卵焼きを作りました。今まで料理ってあんまりしたことがなくて、スクランブルエッグみたいになっちゃいそうだなぁと思いながら作ったんですけど、なんとか作れました。
毎日とる食事。そこに「きっかけ」があるとは、忙しく生きていると気が付きもしない。槙生と朝は食事を通して歩み寄っていくが、その距離感を劇中で表しているのが「いってきます」「いってらっしゃい」という言葉なのだという。新垣、早瀬は声をそろえて「好きなやりとり」と話す。
早瀬:本当に何気ないんですけど「いってきます」「いってらっしゃい」が、映画の最初と最後にあるんですね。最初は2人が全然打ち解けていない(笑)。でも、最後の方に出てくるこのやりとりは、全然違う。「いってらっしゃい」って言ってくれる槙生ちゃんの顔がすごく好きです。応援してくれてるのが分かる。
新垣:最後は、日々を重ねて何度も言ってきたような「いってきます」「いってらっしゃい」になってたね。本当に何気ないんですけど、もしかすると、距離感が一番分かりやすいコミュニケーションなのかもしれないですね。ささいなことが実は温かさを持っている。こういうことを、実感させてくれる作品だと改めて感じます。