新垣結衣×早瀬憩 「誰かと食べるごはんはおいしい」――人と人は分かりあえない現実の中で、誰かと生きていくには
新垣:よかった(笑)。朝は若いが故に、人と関わるとき、「相手に不快な思いをさせるかもしれない」とか「自分が傷つくかもしれない」という恐れがない……その真っすぐさが、槙生には眩しかったかもしれないし私もとてもハッとさせられました。
劇中の話ですが、朝はたとえ自分が誰かを傷つけてしまったとしても、それすら素直に受け止めて「ごめんなさい」としっかり謝れる。朝の純真さが、私が演じた槙生ちゃんのコンプレックスを刺激して、ムズムズするシーンもありました。そういうフレッシュな素直さって、なかなか取り戻せないので。
「自分がある大人」と「フレッシュな少女」の違いは、劇中では槙生と朝の服にも表れる。新垣は槙生らしさを「サイズ感」と、早瀬は朝の服を「カラフル」だと分析する。
新垣:槙生ちゃんは、部屋のシーンが多いのでスエットみたいな楽な格好の印象も強いですが、身なりに無頓着な人ではなくて、外出時はちゃんとしているし、けっこう幅広いアイテムを着用しているんですよね。そんな中で彼女らしさを表現するには、流行りではない心地よさと、サイズ感がポイントでした。
早瀬:朝は、古着っぽいカラフルな服を着るんですよね。朝自身が好きな色を探していたり、いろんな感情があったりするからなんだと思っています。私は普段、モノトーンのワンピースみたいな服をよく着ていたので、すごく新鮮でした。
新垣:あれ? 現場で見た私服は結構カラフルな色を着ていたような……。
早瀬:撮影期間中は心が朝だったので、朝が選ぶものを選んでたような気がします(笑)。撮影前はボーイッシュな格好はあまりしてこなかったんですけど、朝を演じさせてもらってから古着も着るようになりました。自分が染まったのかもしれません。
「いってきます」「いってらっしゃい」の積み重ね
分かりあうことが不可能な現実で、重要な役割を果たすのが食事だ。槙生と朝は、一緒にエクレアやピクルス、餃子を食べて、怒ったり泣いたり笑い合ったりする。新垣自身も「誰かととる食事で毎日が楽しくなる」と微笑む。