「いつまでここにいられるのか…」能登半島地震から8カ月 大学生が初めて知った被災地の現状と課題
石川県は、被災した建物の公費での解体を進めていますが、2万6000件以上の申請に対して、解体が完了したのはわずか1割。 県は、来年の10月までに公費での解体を完了させる計画を立てていますが、人手不足などが作業のペースを遅らせています。 【CODE 吉椿雅道さん】「仮設に入って少しほっとすると、今度は現実が見えてくるんですよ。これから、ここに何年住めるのか、この狭い仮設に。しかも高齢者が圧倒的に多い。これから家は建てられるのか、私たちはどこに行けばいいのか。全壊半壊が多くて取り壊さなければならない。そういう状況の中で、先が見えない、特に住まいに関して、それが多くの人が抱えている問題」
■祖父母の仮設住宅を訪問 「いつまでここにいれるのか分からない」
この日向かったのは、穴水町の仮設住宅です。 【関西大学4年 新谷和さん】「あ、分からんかった!」 出迎えてくれたのは、新谷さんの祖父・義雄さん(77)。ようやく、顔を見ることができました。 【新谷さんの祖母・公子さん(76)】「今までテレビ見とったら、人ごとに思ってたけど、自分がなったらほんとつらいわ。ここくれば、みんな仲良くしてくれるけど、いつまでここにおれるか分からんし、2人とも歳やしね。のんちゃん(和さん)に来てもらわんと」
【祖父・義雄さん】「のんちゃんが嫁に行くまで、生きとらんなと思って」 【関西大学4年 新谷和さん】「遅いな、たぶん」 【祖母・公子さん】「また出てきてね」 【祖母・公子さん】「バイバイ、ありがとう、頑張ってね」 【関西大学4年 新谷和さん】「おばちゃんこそ」 何度も遊びに来たことのある祖父母の家は解体され、跡形もなくなっていました。
■「分かろうとすることに意味がある」「それだけで人は救われる」
【関西大学の学生】「最初の方は、こんなんでちゃんとその人のためになってるんかなとか、色々思ったんですけど。微力でもゼロじゃない。0.1でもいいから、その人のためになっていると聞いて、来てよかったなって思ったし、また来たいなと思いました」 【CODE 吉椿雅道さん】「みんな同じこと悩むんですよ。ぼくもいつも無力感あるんですよ。分からない、伝わらないじゃないですか、被災者の気持ちって。僕ら何も傷を負ってないし。でも分かろうとすることに意味がある。相手にそれは伝わる。この人、私の話を聞いてくれる、分かろうとしてくれる。それだけで人って救われるんですよ」 【関西大学4年 新谷和さん】「行く前から、行ったところで何か変わるんかなって、正直思ってたんですけど。本当に来てよかったなって思ってて。本当に行って良かったなって思ってて、よろこんでくれる顔を見れただけで、行って良かったなって思いました」 現地に行ったからこそ知った被災した人の現実。 遠く離れていても、決して他人事ではありません。 (関西テレビ「newsランナー」2024年8月27日放送)