山中慎介は不気味挑戦者を倒し37年ぶり具志堅氏に並ぶV13なるか
WBC世界バンタム級タイトルマッチ(島津アリーナ京都・15日)の前日計量が14日、京都市内のホテルで行われ、王者の山中慎介(34、帝拳)と同級1位の挑戦者、ルイス・ネリ(22、メキシコ)の両者共に一発でパスした。これが13度目の防衛戦となる山中は、勝てば元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏が打ち立てた世界王座の連続防衛記録の日本記録に37年ぶりに並ぶ。だが、ネリは最強挑戦者で、入念に山中対策を練り上げてきた形跡がある。不気味さのある挑戦者を“神の左”で倒して山中は、37年間、閉じられてきた日本ボクシング界の歴史の扉をこじ開けることができるのか。 計量をクリアすると山中は満面の笑顔で力こぶを作り、左手で人差し指を立て、直後に水を飲む。 「水分を摂って元気が戻ってきた。すぐに腕が湿ってきたのがわかった」 カラカラに乾いた細胞に水分がいきわたるのを実感した。 前夜は、ほんの少しだが、ポークステーキと温野菜を胃袋に入れることができた。 13度目となる防衛戦。2011年11月にベルトを獲得して以来、足掛け6年に渡る防衛ロードの中で得た調整方法は、もう円熟の域に達している。 「いい訳ができない状態にまで仕上がった。記録のかかる試合で必ず勝って皆さんに喜んでもらいたい」 南京都高校出身(現・京都廣学館高校)の山中にしてみれば、地元の京都で偉大なるレジェンドの記録に並ぶのだから、必然、モチベーションはあがる。 だが、このメキシコから来た23戦全勝(17KO)の挑戦者は不気味だ。 「5キロ減量したが、今からピザ、パスタ、ソーダなどをゆっくりと食べながら試合では9キロほど増やす。敵地だからKOを狙う。ハッキリとした勝ち方が必要だからな」 報道陣に囲まれながらスタバの甘いドリンクとお菓子の「東京バナナ」をパクついた。 山中対策も入念に仕込んできた。 「山中の左は上体を揺らして外す。そして彼はパンチの打ち終わりにガードが下がる。その隙を狙って当てていく。奴は、1ラウンドで試合を終えることはできないだろう」 山中の“神の左”をスウェーで外し、王者の唯一の弱点とも言える打ち終わりに生まれる隙にパンチを浴びせるというプランである。実際、山中は、その隙を狙われダウンするシーンもここ数試合は目立つ。 元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏は、公開スパーで見たネリに山中対策の片鱗が伺えたという。 「トレーナーのミットの位置は打ち終わりにガードが下がる山中の顎の位置だったし、わざとタイミングを少しずらして、そこに合わせるようなフックを打ち込んでいた。かなり綿密に山中対策を練ってきたのかもしれない」