なぜ日ハムは西川、大田、秋吉の国内外FA権保有者3人を“自由契約”としたのか…争奪戦に名乗りを上げる球団は?
また大田も2016年オフに巨人から日ハムにトレードされてから右の大砲として覚醒。4年連続で14本塁打以上を打ち、2019年には132試合に出場して打率.289、20本、77打点のキャリアハイの数字を残した。古巣の巨人がどう反応するかはわからないが、中日、広島、ソフトバンク、ロッテらは興味を抱くと考えられる。 ヤクルト、日ハムでクローザーを務めた変則タイプの秋吉も中継ぎ強化を狙う資本力に余裕があるチームであれば獲得を検討するかもしれない。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、今回の日ハムの異例の決断をこう評価している。 「今の年俸であればFAで取ってくれる球団はないでしょう。日ハムからすれば、コスパを考えると、事実上、来季の戦力構想に入っていないということかもしれません。契約するにしても野球協約の減額制限を超えるような相当の減額が提示されるでしょう。彼らの市場価値を下げてしまう前に、11球団と交渉できる選択肢を与えてあげよう、日ハムの功労者に対してチャンスを作ってあげよう、という優しさだったのではないですか。球団にとっても選手にとってもウインウインの判断だったと思います」 日ハムの異例の決断の背景には新庄監督を迎えたチーム方針もあるのだろう。新庄監督は就任会見で「メンタル的なものを鍛えながら、チームにピッチャー3人、野手4人のタレントを作りあげていけば、楽しいチームになる。僕が監督になって(支配下登録選手)全員がドラフトでかかった選手だと思っているんでレギュラーなんか一人も決まっていません。新人、2年目、3年目の選手がキャンプで、ガっと伸びたときに、全部を若い選手で固めるかもしれない」と若手育成にシフトしていく構想を明かしていた。実際、野手にも、万波、野村、浅間、五十幡らの若手がいて、伸び悩んでいるがポテンシャル抜群の清宮もいる。 また球団サイドは他球団との移籍交渉がまとまらなかった場合の救済措置まで用意しており、稲葉GMは、「昨年も、ノンテンダーの村田透投手と再契約した例があるように、ファイターズとの再契約の可能性を閉ざすものではありません」とコメントした。 話に出た村田は、同じように自由契約となりながらも獲得球団が出てこず2400万円減の1600万円プラス出来高払いで再契約している。 日ハムが打ち出したメジャー式の選手の活躍機会を尊重する決断は、ある意味、画期的な流れの先駆となったと言っていい。3選手は来年どこのユニホームを着ているのか。特に西川は争奪戦必至だ。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)