市場は「壊れている」とアインホーン氏-データはそれを裏付けず
(ブルームバーグ): 著名ヘッジファンド運用者のデービッド・アインホーン氏は、パッシブ投資のブームが何年にもわたりウォール街の伝統的な割安株探しを無効にし、市場は「根本的に壊れている」と言う。
指数に連動する資金が爆発的に増えたことで、多くのアクティブ投資家が廃業に追い込まれ、ウォーレン・バフェット氏やベンジャミン・グレアム氏のような投資家が割安企業に価値を見いだした時代は終わったという。
そしてそれは、価格発見やコーポレートガバナンス(企業統治)など、あらゆるものをむしばんでいる。「パッシブ投資家は、価値について何の意見も持っていない」と、アインホーン氏は2月にバリー・リットホルツ氏のポッドキャスト、「マスターズ・イン・ビジネス」で語った。
ヘッジファンド運営会社グリーンライト・キャピタルの創業者であるアインホーン氏は、パッシブ資産がアクティブ資産を追い越し、割安株がハイテクを中心とした成長株にかつてないほど後れをとっている時代にこのような見解を示している。自身のファンドが2年にわたり好調な成績を上げた同氏は、ディープバリュー投資を成功させる方法はまだあると強気な見方を示している。
アインホーン氏は、かつて「マルクス主義より悪い」とまで言われた大規模なパッシブ投資による市場の混乱に関する広範な議論を再燃させている。しかし、批判は行き過ぎかもしれない。インデックス投資ブームは市場を壊してなどおらず、株式選定の背景にまだささやかな影響を及ぼしていると、多くのプロの投資家がバリュエーションとリターンに関する通常のデータを引用して主張する。
消えゆくバリュー
まず、アインホーン氏の主張の中心、つまり昔ながらの投資スタイルの信奉者にとっては厳しい時代だということは真実だ。かつての投資家は、割安銘柄を物色して大勝利を収めることができた。しかし、この10年以上、この戦略では圧倒的多数のマネジャーが何度も失敗してきた。