市場は「壊れている」とアインホーン氏-データはそれを裏付けず
さらに、指数連動投資が混乱をもたらすことを否定するもう一つの主張がある。これらのファンドは通常、アクティブ運用ファンドが設定した価格トレンドに従う。例えば、電気自動車(EV)メーカー、テスラが20年にS&P500種に採用されたのは、デイトレーダーと成長志向の機関投資家による株価の急騰によるものだった。
また、21年の学術調査によると、米国株式市場は20年前と同様にアクティブであり、多くの一任投資家がパッシブETFを武器にポートフォリオを構築している。
新しい話ではない
アメリカン・センチュリー・インベストメント・マネジメントのマルチアセット戦略最高投資責任者(CIO)、リッチ・ワイス氏によれば、バリュー株のパフォーマンス低下を指数連動投資のせいだけにするのは誤りだという。
「パッシブ投資の成長は、私がこの業界に入ったときから続いている。新しいものではない。それなのになぜ突然、バリュー投資が機能しないレベルに達したのだろうか」と同氏は問いかける。
アインホーン氏は多くのバリュー投資ファンドの苦戦の背景に何があるかにかかわらず、強気を維持している。同氏のファンドは22年に約37%、昨年は22%のプラスリターンを上げた。
ETFからアルゴリズム取引に至るまで、価格に鈍感な投資家が市場を支配しているため、存続可能な企業がとんでもなく低いバリュエーションで取引される「ディープバリュー」と呼ばれるような状況になっている。つまり、配当や自社株買いといった控えめな企業からの還元でさえも、最後に残ったバリューに傾倒した株主にリターンをもたらす可能性があるということだ。
アインホーン氏は先月の投資家向け書簡で、パッシブ投資の普及による歴史的な資本移動は「素晴らしい機会の組み合わせ」を生み出すと書いている。
「私たちのリターンは、他の投資家からではなく、会社そのものから得られる」という。
割安株
割安株の定義はさまざまで主観的であることが多いが、ここでは説明のために株価売上高倍率を使って判断してみよう。ラッセル3000種指数の中で最も割安な銘柄群のパフォーマンスを追跡してみると、過去3年間は多くの人が描いてきたようなバリュー投資の砂漠ではなかった。